#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-265:answer

   60才代の女性が、胸部不快発作でした。

    胸部不快感+この心電図で、ACSだから、循環器科を呼ぶんだ!! 

     は、間違いないとして、心電図判読です。 

Ecg265er12web_2

クリックすると、ECGが拡大します。

  •   洞調律、AV-blockを含め不整脈なし。そんなに頻脈でもない。
  •   V1,2,3のST低下あり。
  •   V5,6のST上昇有り。
  •   II, III, aVF ST上昇が著明です。
  •   I, aVL ST低下が著明です。
  •   VIIVIII ST上昇を示す。

   下後壁・のACSとして取り扱います。

   多分、RCA病変だろうな、と考えて対応するでしょう。

 次に、側壁誘導と、右側胸部誘導です。

Ecg2653aterweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 V7,8 ST低下あり。側壁への虚血の拡がりは、少ないというか、むしろミラーイメージなのでしょうか?

 I, aVL ST低下も合わせると、側壁自体の虚血変化は、少ないようです。

 V5,6のST上昇部分に限られているようです。

V3R/V4R にST上昇が軽度見られます。たぶん、右室の心筋虚血です。

(シネフィルムで分かりますが、閉塞部位はRCA #3であり、右室壁の大きなRV枝は閉塞を免れています。これが、右室誘導枝でのST上昇が少ない原因でしょう。)

(さらに、心エコーでは、右室の拡大・壁運動低下を認めません)

 

  上記の側壁誘導と、右室誘導の所見まで合わせると、やっぱりRCAの病変なんだろうな、と推測させます。

Ecg2654cag01web

Ecg2655cag02web

   左冠動脈は、LCXを含めて、閉塞性病変はありません。

   右冠動脈は、#3で99% with severe delayを示しています。そして、大きな右室枝も認められます。右側胸部誘導でのST変化が比較的乏しい理由のようです。

 

   前回と比較してみましょう。

   右冠動脈(#3)閉塞と、回旋枝(#11)閉塞との比較です。

Ecg2656rcalcxweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 

   12誘導心電図だけの比較では、確定的とは、あまり云えません。

   側壁誘導や右側胸部誘導まで加えると、かなり明瞭です。

   でも、精密に読み込み、比較することよりも、12誘導心電図を見て、一発でACSダ!!循環器科をコールしよう。が大切なんです。

   お師匠様からは、あんまり理屈っぽく心電図を解析していると体に悪いですよ、と云われました。

..

.
.