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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG−340:answer

 50才代の男性です。

 B,C肝炎はありません。お酒かもしれません。

 レントゲンでは、腹部が真っ白です。慣れていると、腹水パンパンなんだね、と分かります。

 CTの冠状断で、腹水多量で肝萎縮が分かります。 

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CTの三断面で見ると、心臓が横隔膜の座布団(ざぶとん)の中にめり込んでいるのが、分かります。

お座部の上の福助人形のイメージです。

腹水パンパンで、横隔膜が挙上しています。胸水はなし。

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腹水を除去し、安静を保ち、7kg体重が減った10日後に心電図を再度記録しました。

 

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*搬入時(Xday)の心電図は、low voltage傾向です。

   →肢誘導は全て5.0mm以下。

   →肢誘導はV3,4は10mmちょっとあります。

   →特にV5,6の低電位が著明です。

 

*腹水を抜き安静で利尿が増えて、体重が7kg減った10日後の心電図では、胸部誘導のQRS波高がやや高くなっています。

 

さて今回、心電図は(肝硬変・著明腹水貯留の診断に役立っていたのか?

 

鳥獣戯画のカエルみたいに膨らんだお腹を見れば、腹水が溜まっていることは、容易の想像出来ます。全身浮腫は見れば分かるし、それが診断です。 

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【 原因が分かっていると、low voltageが納得出来る 】

 

Low voltageから鑑別疾患を考える、では無く。

病態から、low voltageを納得する。

 

で、良いんだと思います。