#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-376:answer その1 LPHBと鑑別すべき病態 (#心電図検定試験-021)

#心電図検定試験  LPHB-02

 

 

何の変哲も無い心電図に見えますね。

ボーとしていたら、WNLで済ませそうです。。

I誘導に着目しましょう。

かなりの右軸偏位です。まず、ここに注目です。

 

では、右軸偏位の鑑別から、(1年目さん)に教育開始です!いくつ思いついてくれるかな?

 

WNL : within normal limit

 

f:id:heart2019:20200506093139p:plain

クリックすると、心電図が拡大します

litfl.com

 

 

#心電図検定試験    LPHB-03

 

 

右軸偏位の鑑別です。

 

a.) CRBBB(完全右脚ブロック)

b.) COPD(肺性心のパターン)

c.) 肺高血圧症(先天性心疾患・原発性肺高血圧症etc.)

d.) 急性/慢性の肺塞栓症(出た~!!)

e.) LPHB or LPFB

f.) 陳旧性後側壁梗塞

g.) 左右上肢電極付け間違い

h.) normal variant(やせ型の立位心 etc.)

i.) その他(MS,軽症のASD)

 

 

 

#心電図検定試験    LPHB-04

 

 

a.) CRBBB  ×

        QRS幅が0.12秒以上じゃない。

    V1が、MやΛの形していない。

    V6にwideなS波が無い。

 

なお、I誘導でR=Sまでの軸偏位は、CRBBBで説明されます。

 

f:id:heart2019:20200506093527j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

#心電図検定試験    LPHB-05

 

 

右軸偏位の鑑別

 

b.) COPD(肺性心のパターン)  ±

 

COPDでは、横隔膜が下がります→心臓が立位心(drop heart)となります。電気軸が下を向きます。

肺性P認める事あり。

右心負荷強いと、V1-4のST低下が出現します。

 

これらが全てありませんが、右軸偏位以外は特に認めないCOPDもありますから。 

(±:たぶん違うけど、否定はできない)

f:id:heart2019:20200506093808j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

#心電図検定試験    LPHB-06

 

 

右軸偏位の鑑別です。

 

c.)肺高血圧症(先天性心疾患・原発性肺高血圧症etc.) ×

 

明瞭な右軸偏位を示すならば、RVH所見がきっと出現します。

 

*V1-3の高いR波やstrain型のST低下。

*移行帯の時計方向回転。

*がっつりした肺性P波。

 

この全てがありません。検定試験問題なら、バツ

f:id:heart2019:20200506093953j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

#心電図検定試験    LPHB-07

 

 

右軸偏位の鑑別

 

d.) 急性/慢性の肺塞栓症(出た~!!) ±

 

1S,Q3,T3が揃わないからと云って、肺塞栓は否定出来ません。

もし前回無かった右軸偏位出現だと、十分考慮すべきです。

 

heart2019ecg.hatenablog.com

 

 

 

 

右軸偏位の鑑別です。

 

e.) LPHB or LPFB

 

この説明は、一番最後にしましょう。

いきなりこんなの教えられたら、心電図嫌いを作ってしまいます。

 

LPHB:left posterior hemiblock

LPFB:left posterior fascicular block

 

CRBBBを伴わないLPHBは、レアものです。

 

www.ecgguru.com

 

 

#心電図検定試験    LPHB-09

右軸偏位の鑑別

 

f.) 陳旧性後側壁梗塞 ×

 

亜急性期の広範囲前壁梗塞(=前壁中隔+側壁梗塞)の心電図と比較します。

肢誘導だけみたら、肺塞栓も疑ってしまいそう。

 

*右軸偏位では、R<S波です。

*梗塞では、Q/QS波による右軸偏位です。

 

Q波とS波を、最初はごっちゃにしてしまう。。

f:id:heart2019:20200506100903j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

#心電図検定試験    LPHB-10

 

 

右軸偏位の鑑別

 

g.) 左右上肢電極付け間違い ×

 

最初に鑑別するポイントです。

何故だか間違いの殆どは、左右上肢の付け間違いです。aVRでrSパターンで、陰性P波・T波ならば、電極装着は正常なはずです。

 

f:id:heart2019:20200506101037j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

#心電図検定試験     LPHB-11

 

 

右軸偏位の鑑別

 

h.) normal variant

 

病院に入職時の心電図/胸部レントゲンの判定していると、ほっそりした滴状心の方は、I 誘導が小さくr=sになっています。aVR=aVLが多い。

 

これは相手を見れば分かりますが、検定試験では(正常亜型として軽度の右軸偏位あり得る)と覚える。

 

 

#心電図検定試験     LPHB-12

 

 

右軸偏位の鑑別

 

i.)  その他

 

Mitral Stenosis  &  (軽症の)ASD

 

「左室にストレスの無くて、右心系に負担が掛かる似たような病態なんや。これを心電図で間違えるのは、よくわかっとる証拠やで。」

I 誘導で、R=Sとなって電位が低いんや。Lead-I-signと云うんやで。」

 

吉川純一先生が、月数回のレジデントカンファで教えてくださいました。

 

f:id:heart2019:20200506102241j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

その2は、やっとLPHBの説明と理解です。