Question:再掲の心電図
頻脈で、高齢で、P波が胸部誘導でした確認出来ず、不整脈の問題だと気付かないかもしれない、けっこう意地悪な問題です。
しかし・・・
心電図検定公式問題集&ガイド(改訂3版) [問題42]で、
同様の設問があります。p-55 (私のように、意地悪な出題者です)
肢誘導→胸部誘導と連続して、リズム解析・P-QRS関係の評価を行いましょう。
なお、リズム不整の心電図をベッドサイドで認めたときの正しい対応は、
【 納得出来るまで数メートルでも12誘導心電図を記録して、その反復性の有無を確認すること! 】
なんですね。
例題-A(同時相心電図) 一番下は、リズムチャート 30秒考えてください。
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↓(30秒後です)
*6:1でQRSが脱落するウェンケバッハ型房室ブロックです。
*PR間隔は、ゆっくりと徐々に延びて脱落します。
*そして、何事も無かったかのようにPR間隔が元に戻り、そして延びる。
試験には、このような分かりやすい例が望ましいと思うのですが、中級・上級者にはひねた問題がでますね。仕方ないか。。
例題-B 30秒考えてください。
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↓(30秒後です)
*5:1でQRSが脱落するウェンケバッハ型房室ブロックです。
*P波を探すのは、V1である必要はありません。一番よく見える誘導を使います。
*T波に乗ったP波は、最初はわかりずらいかも。この症例では、P(3-4)の間隔を計り、P4から同じ距離にP5があると想定して見ると、理解出来ます。
例題-C 30秒考えてください。
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↓(30秒後です)
*3:1でQRSが脱落するウェンケバッハ型房室ブロックです。
*残りの試験時間が短いときは、SVPC多発などと、勘違いしそうです。
*P波は胸部誘導でしか確認出来ませんが、確実に2回パターンがくり返していますので、慌てなければ診断可能です。
*その目で見ると、肢誘導のQRSも同じ反復性を示しています。
例題-D 30秒考えてください。
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↓(30秒後です)
*これは、曲球(くせだま)です!
*3:1 と 2:1でQRSが脱落するWenckebach型房室ブロックです。
*2:1で脱落するWenckebach型房室ブロックもあります。
◯Wenckebach型2度房室ブロックは、房室結節で伝導途絶する。(AHブロック)
◯Mobitz II型2度房室ブロックは、His束レベルで伝導途絶する。(HVブロック)
*2:1の2度房室ブロックは、どっちの伝導障害か、電気生理学的検査なしでは、本当は分かりません。
*この症例は、3:1のWenckebach型2度房室ブロックの後に、2:1房室ブロックが一回だけ出現しています。推定としては、2:1のWenckebach型2度房室ブロックが一過性に出現したですね。(あ~、分かりにくい)
例題-E 30秒考えてください。
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↓(30秒後です)
*これも、意地悪です。
*P1→P2とPQ時間が延びており、Wenckebach型です。
*でも、次がBlocked-PACとなっています!明らかに早期に出現したPACです。
*なお上室性の三段脈もあり、この症例ではPACが周期性を持って出現します。
*この症例が、本当にWenckebach型2度房室ブロックを呈するかは、このPACが無くなった時に判断するしかありません。
【 Wenckebach型2度房室ブロックは、疑って掛からないと見落とすが、早合点すると間違いますよ 】
いろんなWenckebach型2度房室ブロックを見て頂きました。
心電図検定試験に準拠した命名では、
Wenckebach型2度房室ブロック :ウェンケバッハ
Mobitz II型2度房室ブロック :モービッツ
です。人名は英語表記なのでしょうね。
なお、Wenckebachでも、Wenchebachでも、良いらしいです。
Wenckebach型2度房室ブロック = Mobitz I型2度房室ブロック
なんですけど、M-Iで呼ぶ方はいませんね。
房室ブロックの電気生理学を、ご理解頂けましたら幸いです。
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医事新報社からです。
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