当院のPCI戦士(cardiologist)は、こう云っております。
「レッドフラグが沢山ある患者さんの胸痛は、循環器科callなんだよ。心電図やトロポニンの変化がハッキリしなくてもね。」
心電図解釈に悩んでも、断続的に続く胸部不快感で、レッドフラグ(DM,Hypertension,heavy smoker)ならば、すぐに循環器科へ相談です。(信頼関係を築いておいて下さいね)
心電図解説前に、ERでのPOCUSです。
(POCUS point of care ultrasound:ちょいあて心エコー)
*の所見は、必ず気づいて欲しい。
◎まで分かれば、ちょっと鼻が高い??
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(左室短軸像:乳頭筋レベルでちょっと心基部近く)
*中隔部分は、肺がかぶってよく見えません。
*全体的に壁運動が低下しているイメージです。
◎たぶん、右心系の拡大無し。
◎左室は拡大しているイメージ。
(傍胸骨左室長軸断面)
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*やっぱり左室は拡大し、壁運動は低下している。
*大動脈弁の開放は良好。(ARの有無がちょっと気になる)
◎左室後壁が少し気になります。中隔より動き悪いか?
◎心のう液無し。大動脈解離は見える範囲無し。
◎右室の拡大はない。
ここで、安心してはいけません。
異常には気付きましたが、虚血の診断は出来ていません。
冠動脈は3本しか有りません。
LAD領域・RCA領域・LCX領域と、ザックリ分けて観察です。1分で出来ます(慣れてれば)。。
下後壁に狙いを付けて、心エコーを行います。
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(心尖部四腔断面)
*無収縮(akinesis)の部分無し。
*壁運動に元気がない。
◎側壁が一番壁運動低下が強い。
◎心尖部の絞りが、ぎこちない。
◎Remodelingが進んだイメージ。一元的に説明出来ない。
POCUSなので、計測は不要です。
実際、計測はプロ(心エコー技師さん・エコー一筋の医師)に後でお任せしましょう。計測はプロの領域だ、と割り切ります。
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(心尖部左室長軸断面:心尖部三腔像)
*下側壁の収縮性低下が分かります。
*心尖部もちょっと奇異性運動あり。
◎この方向からは、心基部は少し頑張っているように思えます。
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(心尖部二腔像)
*下壁の収縮性は、著明に低下です。
◎動いてるように見えるかもしれませんが、横滑りしているだけです。正常部位に引っ張られているだけです。
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(傍胸骨左室長軸断面 B & M mode)
*いわゆる後壁の壁運動が低下しているのが、M modeで確認されます。左室腔は拡大しています。
◎中隔の可動性は、正常ならば後壁より小さい。それが逆転しているのは、後壁の障害を意味する。
◎今的に云うと、心基部の下側壁と云うべきか。
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(心尖部左室長軸断面:心尖部三腔像のcolor像)
*MRはmildです。ARは認めませんでした。
◎左房は拡大しておらず、長期のMRによる障害はないようです。
◎弁逆流は、その気で追わないと最大逆流量を過小評価します。
数分の心エコー検査で、循環器医は決断しました。
「やはりACSだ。カテ室準備できてるね。すぐ行こう。」
次回、冠動脈造影/PCIと心電図所見の考察です。
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
医事新報社からです。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
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