ER心電図は、これです。
心エコーはこれです。
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Multiple Risk Factor持ちです。(DM/HT/smoking)
断続する胸部不快感です。
ACSですね。心エコー所見からは、たぶん回旋枝領域です。(本当は、心室中隔下部をもっとscanが欲しい)
POCUSの役目は、ACSか否かの判断です。
RCA or LCXのACS議論は、循環器的にはなかなか楽しいのですが、それは緊急PCIが終わってからにしましょう。
問題ありませんね。
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回旋枝 LCX(#13)の99% with severe delayを示します。
前下行枝 LAD(#7)も90%狭窄です。
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重なって見にくいですが、LCX #13の閉塞です。
LAD #7も重度の狭窄ですが、造影遅延(flow delay)はありません。
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再度造影すると、LCX #13以後がやや遅延しつつ見えてきました。造影剤のpushで血栓が少し押し流されたようです。PCIのためのwireが入れやすくなります。
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その後の結果を静止画で示します。#13にSTENT留置しました。
STENT留置後は、#13-99%stenosisは完全解除されました。
(#7の病変は、後日PCI追加されています)
早期のPCI介入が出来たため、CPK/トロポニン値の上昇も軽度でした。
心不全の発生はありませんでしたが、高血圧+二枝病変で左心機能障害が発生していたのでしょう。
さて、やっと心電図解析です。
ER心電図と第4病日の心電図を比較します。
X day(at ER)は、
*CRBBB, NSR
*一拍目のPVCは下方軸で右軸偏位。ACSとは関係ないか?
*III,aVFのT波陰転あり。胸痛無ければ、スルーしそうです。
*その気で見ると、V3,4のST低下あります。
CAGでは、LAD/LCXの両方に有意狭窄があります。
画像的にも、LCXは新鮮血栓像を認め責任病変ですが、心電図的判断はどうなるでしょう。
◎LAD病変とすると、STEMI所見がありません。#7が責任病変だとすると、心電図変化が少なすぎます。
◎心エコーではdiffuse hypokineisですが、LAD-ACSとするには、LAD領域の壁運動がまだしっかりしています。不安定狭心症の可能性は残りますが。。
●下側壁(後壁)のACSだと推定すれば、V3,4のST低下も理解出来そうです。
●しかし、この心電図だけで=レッドフラグなし=ACSと診断するのは難しい。心エコーの協力がかかせません。
【心電図がよく分かんない(・_・?)ACSは、きっとLCX病変!】
X+4 daysの心電図では、V4-6とII,III,aVFでT波陰転となっています。回旋枝(LCX)病変で納得です。
今回は、#心電図検定試験シリーズとしておりません。
こんな微妙な、かつ経時的変化を伴う問題は作成出来ないでしょう。心エコーの協力も要るし。
ERで苦い経験をしないで下さいね。
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