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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-376:answer その2 LPHBと鑑別すべき病態 (#心電図検定試験-021)

#心電図検定試験   LPHB-13

 

右軸偏位の鑑別です。

 

e.) LPHB or LPFB

 

やっと、正解にたどり着きました。

解説長くなります。

急ぎの方は、

 

*心電図の読み方パーフェクトマニュアル p-100

 

*実力心電図 p-154

 

をご参照あれ。

 

これを読んでも分かんない(_?)方は、お付き合いください。

 

 

#心電図検定試験   LPHB-14

 

LPHB:left posterior hemiblock

LPFB:left posterior fascicular block

 

LPHB=LPFB :  左脚後枝ブロッック

 

右軸偏位の心電図で、下記の疾患群が否定的であるならば、

 

a.) CRBBB(完全右脚ブロック)

b.) COPD(肺性心のパターン)

c.) 肺高血圧症(先天性心疾患・原発性肺高血圧症etc.)

d.) 急性/慢性の肺塞栓症(出た~!!)

e.) LPHB or LPFB

f.) 陳旧性後側壁梗塞(または、広範囲前壁梗塞)

g.) 左右上肢電極付け間違い

h.) normal variant(やせ型の立位心)

i.) その他( MSと、軽度のASD )

 

LPHBを強く示唆します。

(つまり、しっかりとした心電図知識が、実は必要なんですね)

 

 

 

#心電図検定試験   LPHB-15

 

LPHB=LPFB :  左脚後枝ブロッック

 

ところが、問題に出した(pure LPHB)は、とてもレアものなんです。(私この手の心電図は、持ってません)

たいていは、CRBBB+LPHBの二枝ブロックです。

 

クリニカルに見る二枝ブロックは、

 

  CRBBB+LAHB >>>  CRBBB+LPHB

 

となります。

やっぱり、少なめです。

 

LAHB : left anterior hemiblock (左脚前肢ブロック)

 

 

 

#心電図検定試験   LPHB-16

 

CRBBB,CLBBBは、ご理解されているとの前提で説明を致します。

 

CRBBB/CLBBBは、QRS幅が0.12秒以上です。それは、人為的にそう決めたからです。こんだけあれば、complete(完全)だよね、と。

(違うよ、というツッコミ歓迎です)

 

ヘミブロックでは、0.12秒未満です。

 

 

 

#心電図検定試験   LPHB-17

 

左脚の前枝と後枝、及び右脚は、きっと以下のような図で覚えたと思います。(私はそうでした)

 

三本の線で、刺激伝導系を認識します。これは基本的に正しい理解です。まず、ここから入りましょう。

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#心電図検定試験   LPHB-18

 

実際には、左脚は(熊手)のように拡がります。

イメージとして、左脚前枝・後枝の三次元的支配域を持って下さい。

 

左脚前枝は、左室の上面を支配。(そして側壁側)

左脚後枝は、左室の下面を支配。(そして中隔側)

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#心電図検定試験   LPHB-19

 

なぜ、ヘミブロックでQRS幅は0.12秒未満なのか?

 

左脚前枝・後枝は、末梢プルキンエ線維網で連絡されています。

左脚後枝ブロックでは、前枝よりプルキンエ繊維網を通じて、逆行性興奮が生じます。

刺激伝導系を基本に流れる(=高速)ため、QRS幅があんまり拡がりません。

 

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#心電図検定試験   LPHB-20

 

左脚前枝ブロック:左軸変異

 

左脚後枝ブロック:右軸偏位

 

となる。

これが、必須の理解です。

検定試験は、これだけでも乗り切れるかも。

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#心電図検定試験   LPHB-21

 

正常伝導を、ベクトル心電図の概念を使って見てみましょう。

QRSを時相で分割し、その時々の(電気軸の方向)と(起電力の大きさ)を二次元上にループで描きます。

 

水平面:胸部誘導

正面:肢誘導

 

を意味します。

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#心電図検定試験   LPHB-22

 

正面(肢誘導)では、

*ちょっと上方向に電位が向き

*左下方に向かって、電位が大きくなって行きます

*最高電位で(原点)より一番遠くなります。

*興奮の終了に伴い、(原点)に戻ります。

  →通常心電図では、基線に戻りますね。

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#心電図検定試験   LPHB-23

 

正面(肢誘導)でのベクトル環は、三枝(右脚・左脚前枝・左脚後枝)の起電力の総和で動きます。

正常であれば、II誘導で最大のR波となるのが理解できますね。

橙色の矢印は、いわゆる総合ベクトルです。QRSの興奮を総合した起電力の大きさ・方向性です。

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#心電図検定試験   LPHB-24

 

やっと、なぜLPHBの心電図で右軸偏位が生じるのか?の説明にたどり着きました。

正常例の心室内伝導をしっかりと理解した上で、見て下さいね。

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#心電図検定試験   LPHB-25

 

左脚後枝(のみ)が、切断された場合には、

ベクトル環(想像図)は、こうなるはずです。

 

左脚後枝からの引っ張りが無いので、左脚前枝の興奮が強く出ます。(III,aVFq波が出現)

 

プルキンエ繊維網を通じて、左脚後枝が続いて興奮します。

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#心電図検定試験   LPHB-26

 

左脚後枝に逆伝導した興奮は、III誘導に向かいます。

よって、RIII>RaVF>RIIとなります。

また、SaVL>SIでかつrS patternとなります。

もちろん、右軸偏位(I 誘導)が基本ですよ。

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#心電図検定試験   LPHB-27

 

正常心電図とLPHBの心電図を較べてみます。

大差ないようで、でも微妙に違います。

 

RAD

RIII>RaVF>RII

SaVL>SI & rS pattern

QRS<0.12sec.

 

これを納得するには、けっこうな心電図知識が要求されましたね。ふ~。

 

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