#心電図検定試験 LPHB-13
右軸偏位の鑑別です。
e.) LPHB or LPFB
やっと、正解にたどり着きました。
解説長くなります。
急ぎの方は、
*心電図の読み方パーフェクトマニュアル p-100
*実力心電図 p-154
をご参照あれ。
これを読んでも分かんない(・_・?)方は、お付き合いください。
#心電図検定試験 LPHB-14
LPHB:left posterior hemiblock
LPFB:left posterior fascicular block
LPHB=LPFB : 左脚後枝ブロッック
右軸偏位の心電図で、下記の疾患群が否定的であるならば、
a.) CRBBB(完全右脚ブロック)
b.) COPD(肺性心のパターン)
c.) 肺高血圧症(先天性心疾患・原発性肺高血圧症etc.)
d.) 急性/慢性の肺塞栓症(出た~!!)
e.) LPHB or LPFB
f.) 陳旧性後側壁梗塞(または、広範囲前壁梗塞)
g.) 左右上肢電極付け間違い
h.) normal variant(やせ型の立位心)
i.) その他( MSと、軽度のASD )
LPHBを強く示唆します。
(つまり、しっかりとした心電図知識が、実は必要なんですね)
#心電図検定試験 LPHB-15
LPHB=LPFB : 左脚後枝ブロッック
ところが、問題に出した(pure LPHB)は、とてもレアものなんです。(私この手の心電図は、持ってません)
たいていは、CRBBB+LPHBの二枝ブロックです。
クリニカルに見る二枝ブロックは、
CRBBB+LAHB >>> CRBBB+LPHB
となります。
やっぱり、少なめです。
LAHB : left anterior hemiblock (左脚前肢ブロック)
#心電図検定試験 LPHB-16
CRBBB,CLBBBは、ご理解されているとの前提で説明を致します。
CRBBB/CLBBBは、QRS幅が0.12秒以上です。それは、人為的にそう決めたからです。こんだけあれば、complete(完全)だよね、と。
(違うよ、というツッコミ歓迎です)
ヘミブロックでは、0.12秒未満です。
#心電図検定試験 LPHB-17
左脚の前枝と後枝、及び右脚は、きっと以下のような図で覚えたと思います。(私はそうでした)
三本の線で、刺激伝導系を認識します。これは基本的に正しい理解です。まず、ここから入りましょう。
#心電図検定試験 LPHB-18
実際には、左脚は(熊手)のように拡がります。
イメージとして、左脚前枝・後枝の三次元的支配域を持って下さい。
左脚前枝は、左室の上面を支配。(そして側壁側)
左脚後枝は、左室の下面を支配。(そして中隔側)
#心電図検定試験 LPHB-19
なぜ、ヘミブロックでQRS幅は0.12秒未満なのか?
左脚前枝・後枝は、末梢プルキンエ線維網で連絡されています。
左脚後枝ブロックでは、前枝よりプルキンエ繊維網を通じて、逆行性興奮が生じます。
刺激伝導系を基本に流れる(=高速)ため、QRS幅があんまり拡がりません。
#心電図検定試験 LPHB-20
左脚前枝ブロック:左軸変異
左脚後枝ブロック:右軸偏位
となる。
これが、必須の理解です。
検定試験は、これだけでも乗り切れるかも。
#心電図検定試験 LPHB-21
正常伝導を、ベクトル心電図の概念を使って見てみましょう。
QRSを時相で分割し、その時々の(電気軸の方向)と(起電力の大きさ)を二次元上にループで描きます。
水平面:胸部誘導
正面:肢誘導
を意味します。
#心電図検定試験 LPHB-22
正面(肢誘導)では、
*ちょっと上方向に電位が向き
*左下方に向かって、電位が大きくなって行きます
*最高電位で(原点)より一番遠くなります。
*興奮の終了に伴い、(原点)に戻ります。
→通常心電図では、基線に戻りますね。
#心電図検定試験 LPHB-23
正面(肢誘導)でのベクトル環は、三枝(右脚・左脚前枝・左脚後枝)の起電力の総和で動きます。
正常であれば、II誘導で最大のR波となるのが理解できますね。
橙色の矢印は、いわゆる総合ベクトルです。QRSの興奮を総合した起電力の大きさ・方向性です。
#心電図検定試験 LPHB-24
やっと、なぜLPHBの心電図で右軸偏位が生じるのか?の説明にたどり着きました。
正常例の心室内伝導をしっかりと理解した上で、見て下さいね。
#心電図検定試験 LPHB-25
左脚後枝(のみ)が、切断された場合には、
ベクトル環(想像図)は、こうなるはずです。
左脚後枝からの引っ張りが無いので、左脚前枝の興奮が強く出ます。(III,aVFにq波が出現)
プルキンエ繊維網を通じて、左脚後枝が続いて興奮します。
#心電図検定試験 LPHB-26
左脚後枝に逆伝導した興奮は、III誘導に向かいます。
よって、RIII>RaVF>RIIとなります。
また、SaVL>SIでかつrS patternとなります。
もちろん、右軸偏位(I 誘導)が基本ですよ。
#心電図検定試験 LPHB-27
正常心電図とLPHBの心電図を較べてみます。
大差ないようで、でも微妙に違います。
*RAD
*RIII>RaVF>RII
*SaVL>SI & rS pattern
*QRS<0.12sec.
これを納得するには、けっこうな心電図知識が要求されましたね。ふ~。
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