PVCの起源を探る・・が今回のお題です。
手順があります。
その1.) wide QRSであることを確認する。(QRS幅>120msec.)
その2.) SVPC with aberrant conductionとの鑑別をする。
これは出来ている前提で、PVCの起源を探ってみましょう。
一番分かりやすいのは、やっぱり永嶋孝一先生の
(Nagashima method)なんですよね。
https://twitter.com/i/moment_maker/preview/1378495782270083073
永嶋先生のご厚意により、説明図をお借りしながら今回の症例をみてみます。
心室性の2段脈(bigeminy)となっている部分の12誘導心電図です。
PVCの起源は、順番に絞り込みを行います。
まずは、心室の(上部)由来か・(下部)由来か、を判定します。
心室の上部(房室弁部・流出路・ヒス束レベルまで)よりPVCが発生した場合に、興奮は下を向いて流れて、下方軸となります。
*下方軸→興奮は下向き→下壁誘導ではR波となる。
心室の下部(下後壁)よりPVCが発生すると、上方軸となります。
*上方軸→興奮は上向き→下壁誘導でQS,rSパターンとなる。
これ、よく混乱するので、しっかり覚えてね。
この症例では、下方軸となっていますね。
留意すべきは、洞調律のR波高とPVCのR波では、PVCの方が少し低い位なんです。PVCは、あんまり高い位置からは出ていないようです。III誘導に、S波があることから、PVCの興奮は、上方にも向かっているようです。心臓の真ん中よりちょっと上くらいでしょう。
次にPVCの起源が、右室か・左室か、を推定します。
左室起源 = 右脚ブロックのようなパターン
右室起源 = 左脚ブロックのようなパターン
なんです。
留意すべきは、(のようなパターン)であることです。
CLBBB,CRBBBだと思うと、かなり違った波形となるので、混乱しますよ。
この心電図は、LBBBパターンです。
なお、この症例ではV1,2がQSパターンとなっています。
ここが、起源の絞り込みに重要なんです。
最後に、心室の(心尖部)由来か・(心基部)由来か、ですね。
*V5,6にS波があれば、心尖部から離れる興奮なので心尖部由来。
*V5,6にS波が無ければ、心尖部に向かって来る興奮で心基部由来。
*どっちつかずのRSパターンは、心室中部由来と考えます。
さあ、Nagashima methodで考えました。
*ちょっと上側で
*右室側で
*心基部近く
が起源のPVCです。
三尖弁周囲か、その近傍になりますね。
追加の知見としては、
*下壁誘導のR波があんまり高くない→心臓の上下方向での真ん中かちょっと上くらいのはず。(但しこれは、case by case)
*下壁誘導で、QRS割れてない。中隔由来と云えるPVCは?
*V1,2がQSパターン→WPW-C型に類似したパターン。
右室の心室中隔で、やや高い位置の周辺・・がPVCの起源だ!
では、答えを見てましょう。
K病院から頂いたEP・アブレーションの要約です。
ヒス束周囲(Parahisian)のPVCです。
(パラヒス)と呼ばれてます。
典型例では、
*LAD(下方軸)
*LBBB pattern
*III誘導のR波高が(特に)低い
*I誘導は、R(RR’)pattern
*V1,2 QS pattern
*aVL rsR pattern
(私見ですが)
下壁誘導のR波高は、ヒス束の上方か・下方かで違うと思う。
同様に、aVLの波高もvariationありそう。
以上、PVCの起源を探るでした。
永嶋先生の方法を覚えると、PVCの起源がかなり絞り込めます。
(流出路起源のPVC起源の鑑別は、次のステップです)
皆さん、如何でした。
覚えてしまうと、(PVCの起源を探る)は、怖くありません!!
追加情報:流出路PVCの起源を12誘導心電図より推定するは、
6500円+税
MEDICAL VIEW社
p-176〜186
永嶋孝一先生
に詳しくありますよ。