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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【ECG-401】answer

 

PVCの起源を探る・・が今回のお題です。

 

手順があります。

 

その1.) wide QRSであることを確認する。(QRS幅>120msec.)

 

その2.) SVPC with aberrant conductionとの鑑別をする。

 

これは出来ている前提で、PVCの起源を探ってみましょう。

 

一番分かりやすいのは、やっぱり永嶋孝一先生の

(Nagashima method)なんですよね。

 

https://twitter.com/i/moment_maker/preview/1378495782270083073

 

永嶋先生のご厚意により、説明図をお借りしながら今回の症例をみてみます。

 

 

心室性の2段脈(bigeminy)となっている部分の12誘導心電図です。

PVCの起源は、順番に絞り込みを行います。

f:id:heart2019:20210616215316j:plain

Questionで提示した心電図です

 

 

まずは、心室の(上部)由来か・(下部)由来か、を判定します。

f:id:heart2019:20210616215415j:plain

クリックすると拡大します

 

心室の上部(房室弁部・流出路・ヒス束レベルまで)よりPVCが発生した場合に、興奮は下を向いて流れて、下方軸となります。

 

*下方軸→興奮は下向き→下壁誘導ではR波となる。

 

心室の下部(下後壁)よりPVCが発生すると、上方軸となります。

 

*上方軸→興奮は上向き→下壁誘導でQS,rSパターンとなる。

 

これ、よく混乱するので、しっかり覚えてね。

 

 

 

この症例では、下方軸となっていますね。

留意すべきは、洞調律のR波高とPVCのR波では、PVCの方が少し低い位なんです。PVCは、あんまり高い位置からは出ていないようです。III誘導に、S波があることから、PVCの興奮は、上方にも向かっているようです。心臓の真ん中よりちょっと上くらいでしょう。

f:id:heart2019:20210616215600j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

次にPVCの起源が、右室か・左室か、を推定します。

 

左室起源 = 右脚ブロックのようなパターン

 

右室起源 = 左脚ブロックのようなパターン

 

なんです。

留意すべきは、(のようなパターン)であることです。

CLBBB,CRBBBだと思うと、かなり違った波形となるので、混乱しますよ。

 

この心電図は、LBBBパターンです。

なお、この症例ではV1,2がQSパターンとなっています。

ここが、起源の絞り込みに重要なんです。

f:id:heart2019:20210616215715j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

 

最後に、心室の(心尖部)由来か・(心基部)由来か、ですね。

 

*V5,6にS波があれば、心尖部から離れる興奮なので心尖部由来。

*V5,6にS波が無ければ、心尖部に向かって来る興奮で心基部由来。

 

*どっちつかずのRSパターンは、心室中部由来と考えます。

f:id:heart2019:20210616215809j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

 

さあ、Nagashima methodで考えました。

*ちょっと上側で

*右室側で

*心基部近く

が起源のPVCです。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

三尖弁周囲か、その近傍になりますね。

追加の知見としては、

 

*下壁誘導のR波があんまり高くない→心臓の上下方向での真ん中かちょっと上くらいのはず。(但しこれは、case by case)

*下壁誘導で、QRS割れてない。中隔由来と云えるPVCは?

*V1,2がQSパターン→WPW-C型に類似したパターン。

 

右室の心室中隔で、やや高い位置の周辺・・がPVCの起源だ!

 

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では、答えを見てましょう。

K病院から頂いたEP・アブレーションの要約です。

 

 

 

ヒス束周囲(Parahisian)のPVCです。

(パラヒス)と呼ばれてます。

 

典型例では、

*LAD(下方軸)

*LBBB pattern

*III誘導のR波高が(特に)低い

*I誘導は、R(RR’)pattern

*V1,2 QS pattern

*aVL rsR pattern

 

(私見ですが)

下壁誘導のR波高は、ヒス束の上方か・下方かで違うと思う。

同様に、aVLの波高もvariationありそう。

 

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以上、PVCの起源を探るでした。

永嶋先生の方法を覚えると、PVCの起源がかなり絞り込めます。

(流出路起源のPVC起源の鑑別は、次のステップです)

 

皆さん、如何でした。

覚えてしまうと、(PVCの起源を探る)は、怖くありません!!

 

 

追加情報:流出路PVCの起源を12誘導心電図より推定するは、

 

www.medicalview.co.jp

 6500円+税

MEDICAL VIEW社 

p-176〜186

流出路起源心室頻拍/心室期外収縮

永嶋孝一先生

に詳しくありますよ。