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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-139:answer

ECG-139:91才女性。めまいと気分不良でERヘ搬入された症例のお話しです。

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 まず、発症前の心電図(Question-1)を、読んでみます。
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◎ 洞調律、HR=45bpm.
◎ 完全房室ブロック(としか云えない)
◎ 完全右脚ブロック
◎ P-rateは、120bpmくらい。
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 顕性の心不全はない方です。認知症有り、自覚症状の判定は、ちょっと難しいのですが、BNPの上昇も著明ではありませんでした。
 但し、この症例は、P波のrateは、120/min前後と速くなっています。交感神経のやや緊張=もっと心拍出量を欲している、が推測されます。
 本来は、永久ペースメーカーを植え込みすべきでしょう。
 本人とご家族が望まれず、経過観察となっていました。
 次に、めまい/気分不良で搬入された(Question-2の心電図)を、読みます。
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◎ 心房粗動となっている。
◎ 完全右脚ブロックは、変化なし。
◎ 完全房室ブロックに、変化はない(たぶん)。
心室rateは、相変わらず徐脈のままだから。
◎ ST-elevation(V2-4)を、明らかに認める。
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 ACS疑いは、ACSが否定されるまで、ACSとして取り扱う。
 鉄則ですね。
 合わせて、広範囲に前壁中隔の壁運動が、低下していました。
 緊急冠動脈造影が、選択されました。
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 結果ですが、冠動脈は intact(正常) でした。
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 CPKの上昇は、わずかに394(max.)U/Lでした。
 但し、BNP(max.)=10558.9pg/mLまで上昇し、顕性心不全出現しました。
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 2週間ほどで、安定しつつあります。
 完全房室ブロックによる徐脈と心房粗動は、続いています。
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 発症3日目の心電図です。

E139073141263rdday2013091623chan

クリックすると、ECGが拡大します。

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 GNT(Giant Negative T)が、出現しています。

 経過観察の心エコーでは、心室瘤の状態は、severe-hypokinesisまで、改善しましたが、全体的にはまだまだのLVEF状態です。

 タコツボ心筋症の改善の途上と考えています。

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 この症例の、発症前からの心電図経時列表示です。

E139ecgtimeflow

クリックすると、ECGが拡大します。

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 なお、この患者さんのめまい・気分不良は、頭部CTの経時的観察で、小脳梗塞と判明しました。このストレスによる(タコツボ心筋症)と考えると、よく理解できます。

E139ct

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