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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-153:answer

ECG-153:85才男性。失神発作でER搬入となった患者さんの心電図です。

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RRWP = Reversed R Wave Progression

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 動脈瘤を持つ患者の半分は、冠動脈にも問題あり、と云われています。動脈硬化は、全身性疾患ですから、理解しやすいことですね。

 RRWPを呈しています。虚血性心疾患の合併は、容易に推定されます。よく見ると、V4ではr波がほどんどなくなり、ST上昇・冠性T波も認められます。いくらRRWPだとしても、極端ですね。

 (前下行枝のかなり先の方で、閉塞=心筋壊死が起こったんじゃないの?)

 との推定は、してよいと思います。

E153v16

 なお、CPK・トロポニンーIの上昇はなく、この虚血性変化がいつ起こったのかは、不明でした。失神は、状況失神だったとの、最終判定となりました。

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さて、心エコーです。仮性心室瘤を、呈していました。

E153_2

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 心室中隔壁は心尖部近くで突然に断絶しています。心室瘤の壁部分に、心筋成分は認めません。(最近の心エコーは心尖部の解像度も、とても改善しております)

 発症時期はわからない、陳旧性心尖部心筋梗塞・仮性心室瘤形成の症例でした。

 心電図より、仮性心室瘤を予測することは、無理です。でも、なんか危ないことが、きっと心筋で起きてるよ!RRWPを見て、そう思って下さい。急性の病態でないとしても、心エコー評価は必要です。浮動性の左室内血栓があるかもしれません。

 

 なお、CKDの合併があり、冠動脈造影は施行しておりません。が、LAD領域の梗塞ですね。

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