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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

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80才代女性です。Minor surgery目的での入院時心電図です。

 胸部誘導のT波の陰転です。

 まず、心電図所見を拾ってみましょう。

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* 洞調律です。

 →基線にノイズ有り、P波見えにくいですが、aVL等で確認できます。

 →同じ形のP波の反復と、RR間隔で整で、確認します。

 →但し、この心電図胸部誘導は、SVPCによるRR不整あります。

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* V2-6まで、陰性T波あります。ほぼ対称性。

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* V1-5では、ST上昇も認めます。

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* II, III, aVFでは、QS-patternか?

 →でも、よく見るとrS-patternですね。

 →ただの左軸偏位でも、説明できます。

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* 全体的に low voltage です。

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 さて、自覚症状ははっきりしない(確かめられない)し、バイタルサインも安定しています。

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 鑑別診断に入りましょう。

 →あるとすれば、前下行枝領域。

 

 →胸部誘導での陰性T波は、(たこつぼ)に最も多い所見です。

  • 肺塞栓

 →これも何でもありです、心電図波形は。

 →頻脈がなく、右軸偏位もないのは、所見として合わない。

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 CPK、CK-MB、心筋トロポニン値の上昇はありませんでした。BNPも低値です。ACSではありません。(subacute phaseのMIの完全否定はできませんが)

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 とにかく、心エコーですね。

 心尖部に限局した心室瘤が形成され、他は代償性に一生懸命動いています。治りかけのタコツボ心筋症と考えました。右心系に問題なし。

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 たこつぼ心筋症は、このブログで5回目です(のはず)。

 ショック状態で搬入される症例から、このように偶然見つかる症例まで、バリエーションはいろいろです。

 心電図自体のバリエーションも様々です。胸部誘導の冠動脈の走行で説明の付かない陰性T波の拡がりが(国家試験的正解)ですが、ACSとしか思えないST上昇で見つかる場合もあります。

 この症例では、冠動脈造影はしておりませんので、前下行枝の先っぽ(#8)での冠動脈病変も、完全否定はできません。

 

 今回は、そのような心電図でした。

 

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