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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-045】心電図で、心臓病の誤診や正診が、あるのでしょうか?

【コラム-045】心電図で、心臓病の誤診や正診が、あるのでしょうか?

 とても有名なお話しなので、ご存じの方が多いと思います。

 東京大学神経内学の故・沖中重雄教授が退官されるときに、

【私の誤診率は、14%

 と云われ、みなをびっくりさせたそうです。

 医療者以外は、そんなに偉い人が14%も誤診するのかと驚き

 医療者は、たった14%しか誤診しなかったのか!と魂消た。

 私の尊敬する 和田敬 先生は、自著(心電図から見る心臓病)の序文に、

「著者自身の力をためすために、同じ心電図を順序や日時を変えて3回にわたって判読した結果、100例中8例に全然違った診断が下された」

 と述べられています。(1984)

 私にこんな優秀な結果は、とても出せません。このブログの心電図を見直しても、へ~そうなんだ、と自分で感心してしまうことがあります。

 不整脈を除く心電図診断(心臓病の)は、当時と比べて、そんなに進歩した訳ではありません。各種検査の進歩により、この心電図の意味は、そうだったのか、、的進歩があるだけです。

 循環器病の診断能力は、各種検査を駆使することで、前進しています。でも、12誘導心電図だけで、確定診断となると、限界は今でもあります。

 でも、それでいいんです。

12誘導心電図のみでは、心臓病の確定診断はできない。正診も誤診もない。】

 と、考えて下さい。

 逆に云うと、他の検査がなかった頃でも12誘導心電図のみで、かなりの推定ができていた訳です。一部に妄想が入っていたとしても。

 ST上昇を見たときに、

ACS

 早期脱分極

心肥大(LVH,HCM)

 心外膜炎

 たこつぼ心筋症

 肺塞栓        

 カリウム血症   

Brugada症候群   

 もしかして、大動脈解離

ただの normal varient

 原因不明。。

 などの鑑別をあげられれば、心電図の役割は十分なんですね。

 (もちろん、かなりの程度まで心電図だけでも、鑑別はできます。)

 これ以上の精査は、心電図の経時的記録・心エコー、CTCAGなどに委ねます。

 もちろん、病歴と理学的所見が、優先ですけどね。

 12誘導心電図の誤診を恐れない。そもそも、正診がないんですから。

 鑑別診断があるだけです。その中に、正解があればいいんですね。

 いつもと、同じお話しでした。

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