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Cardio2012のECGブログ-2019改

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ECG-367:VT診断のためのTips その1= 心電図検定試験:傾向と対策 Q.014=

VTの12誘導心電図診断について

こうした診断の目安と目の前の心電図つき合わせてみると、「簡単ではない」ことに気づくだろう。12誘導心電図で「それなりの判別の考え方がある」ことを知っているだけでよい@村川裕二先生(循環器治療薬ファイル 3版:p-115)

 

 

上記を前提とします。

けれども心電図検定試験のために12誘導心電図上のVT診断 Tipsを知りたい方のために、まとめてみました。

 

まず、BrugadaのVT診断アルゴリズムです。

変行伝導を伴った(脚ブロックを含む)PSVTとVTの鑑別です。「簡単でない」VTの診断の目安です。 

 

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https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/01.CIR.83.5.1649

BrugadaのVT診断アルゴリズムの論文にfree accessできます。

 

 

 

【Tipsの一覧です】 

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【 taller left rabbit ear sign 

RBBB型のVTでV1のRR`で、R>R`であればVTです。

V1は右室誘導です。CRBBBであれば、R<R`となるはずです。R>R`は、VTでないと発生しないんです。

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【 LBBB型VTでは、V6にq/Q波があればVTです 】 

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LBBB型のVTでV1にq/Q波があれば、VTです。

なかなか見ないし、判断も難しそう。

(これ、理詰めで説明出来ない。。)

 

 

 

 

 

 

【 QRS>160ms.の頻脈は、VT可能性高まる 】 

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これだけではVT決めきれません。この症例では、QRSの形があまりに変です。(私の思う決め手です。)

 

 

 

 

 

 

【 Capture beat=(心室)補足収縮の存在はVT確定です 】 

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Capture beatは、房室解離の存在が前提ですね。

VT(心室頻拍)ですから、P rate<<V rateです。

P波が運良く房室結節を経て心室に伝導すると、心室補足収縮が発生します。VT確定です。

 

 

 

 

【 Fusion beat=(心室)融合収縮の存在は、VTかも 】 

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赤矢印が、fusion beatです。その後の2拍はP波があり、正常波形ですね。

正常伝導とVT波が、同時に起きて融合しています。

VT波形正常波形の(間の波形)になります。

これがfusion beatだと分かるのは、その後に正常波形があるからです。fusion beat前のP波はよく分かんない(・_・?)。

 

 

 

 

 

 

【 WQRSTでのS波下降脚部のノッチはVT カモ 】 

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wide QRS tachycardia(WQRST)で、Sの最下端(nadir)のちょっと前(下降脚部)にノッチ(notch)があると、VT可能性が高まります。Josephson`s signと云います。

(なぜ、VTに特異的なのか、はっきりした説明が見つかりません)

 

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なお、nadir後半のS並み上行脚部のnotchは、虚血心のVTであるようですが、Josephson`s signとは呼びません。

 

 

 

 

 

 

【 Brugada`s signは、VTを示唆する 】 

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WQRSTにおいて、R波開始部よりS波の最下点(nadir)までのが100ms以上あると、VTの可能性が高い。確定ではない。

 

こういうVT診断のTipsをいくら覚えても、VTを前にすると(あたま真っ白)になりますよね。沢山、VT心電図を見て下さい。できれば、きちんと解説できる方と仲良くして下さい。次回、VTシリーズ最終回です。

 

 

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佐々木達哉先生との共著が、2019/1/23に発刊されました。

医事新報社からです。

循環器版の(思考のレッスン)です。

村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。

まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。

 

https://www.amazon.co.jp/レジデントのための循環器教室%E3%80%88症例で学ぶ循環器診療のリアル〉-佐々木-達哉/dp/4784948759/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=佐々木達哉&qid=1577794530&sr=8-1

 

 

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