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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-168:answer

ASDの術後の患者さんでした。手術は、30年前(60才代)のことです。

 短絡路閉鎖することで、胸部レントゲンや心電図が改善することは、以前ご提示しました。

http://heart2012.cocolog-nifty.com/blogkoko2012/2013/04/15/index.html

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 この症例の心電図は、術後30年後のものです。

 心房粗動時は、典型的なII,III,aVFののこぎり波で、診断は容易です。

 洞調律時も、QRSの波形はほとんど変わりません。P波を見ても、特に右心負荷とは思えませんね。

 右心系が張り出すと、PRWP(CWR)と成りやすいのですが、逆にCCWRです。右心負荷としてのV1-3のST低下もありません。

 右軸偏位は、右心負荷を示す疾患ではよく認められますが、ぎりぎり+90度くらいです。これが唯一の所見ですが、立位心であれば、いくらでもあり得ます。

 ST部分が平坦であるのは、低カリウムのためではありません。90才代ですから、それなりの理由が隠れているかもしれませんが。

 発作性の心房粗動の出現は、右心負荷の所見かもしれません。でも、右心系疾患がなくても、この年齢ではよく出現します。

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 いろいろと心電図所見を述べましたが、結局診断にはあんまり寄与していません。病歴と胸部レントゲン/胸部CT所見が、決め手です。

 逆に考えると、心電図に右心負荷像が残らないくらい、術後経過がいいんだね、とは思えそうです。

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 心電図所見が、あんまり役に立ちませんでした・・・なんて症例報告は、ブログだからできる芸当ですね。書籍だったら、お金返して!となりそうです(^_^)。

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Ecg168xpct02

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