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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-291:answer(1/2)

   10才代 の健康な男児で、健診の心電図異常での紹介でした。

    CLBBBパターンで、左軸偏位です。

    心筋症など、何か問題を抱えているんじゃないかと、身構えてしまいます。でも、心エコーでは先天性心疾患などを含め、著変有りませんでした。

    さて、調律の問題です。

    QRSの前に、P波がありません。どこへ行ったんでしょうか?

Ecg2913pweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 

  誘導によって、見え方が若干異なりますが、ST部分(aVR,V3)・T波のほぼ頂点(V1,2,3)において、P波が確認されます。

 この時点では、心室調律の逆行性P波だと判定しました。

   しかし、Holter-ECGでは、次のような結果を得ております。

(最小心拍数時 と 最大心拍数時)

Ecg2915holterecgweb

クリックすると、ECGが拡大します。

最小心拍数時 = T波に陰性のP波が乗っています。

最大心拍数時 = 洞性頻脈ですね。QRSの前にきれいなP波があります。

交感神経が、元気になると、心房調律に戻っているようです。

(洞調律と、云いたいのですが、Holter-ECGのみでは、まだ分かりません。)

心拍依存性に、変化があるようです。

 では、心拍数が変化する時相を見てみましょう。

( P波の位置と、QRS幅の変動 )

Ecg2914holerecgavdissociationweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 

   Wide-QRSでは、T波の中にP波があります。でも、その位置が少しづつ変化しています。

    頻脈化すると、narrow-QRSとなる。洞調律化する。

    P波のrateが遅くなると、wide-QRSとなる。心室調律となる。

    房室解離のようですね。

    心電図における(解離の定義)を、森博愛先生のwebsiteより、お借りしました。

http://www.udatsu.vs1.jp/dissociation.htm

1.解離とは 

 解離(dissociation)とは、2つのペースメーカーがそれぞれ独自のリズムで活動している状態をいう。

2.分類

  解離は次のように分類する。 臨床的に遭遇する頻度が多いのは、房室解離である。

 

 1)解離がおこる部位による分類

  (1) 房室解離(atrioventricular dissociation, A-V dissociation):心房・心室間の解離。

 (2) 心房解離(atrial dissociation):左・右の心房間の解離。

 

 2)解離の程度による分類

  (1) 完全解離 complete dissociation)

 (2) 不完全解離 (incomplete dissociation)

 

 3)解離の持続による分類

 (1) 持続性解離(persistent dissociation)

 (2)  間欠的(一時的)解離 intermittent (tempolary) dissociation

   完全房室ブロックは、房室伝導が遮断されて、仕方なしに心室の異所性の心室ペースメーカーが作動している状況です。(そうでないと、心停止です)

   房室解離では、心室の異所性ペースメーカー(=心室固有調律)の拍数が、心房調律の拍数よりちょっと早く、各々が独自のリズムを形作ります。

 

◎ 房室解離では、逆行性伝導が起きることが、あります。

◎ このために、房室解離では、心房調律の揺らぎが起きやすい。

          →逆行性伝導が、洞結節を抑制する。

洞結節の応答が早くなると(=洞性頻脈化)、心房調律が支配的にな

る。

  心房の応答と、心室の応答が同じくらいになると(=拍動数が同等になると)房室解離の状況となります。

 心室調律で逆行性伝導が続くと、しばらくの間は、QRS後のST-T部の同じ部位に、逆行性のP波が出現します。この部分だけ見ると、房室解離とは考えられませんね。

大切な点は、器質的心疾患を持たない症例の房室解離は、治療や生活制限は、必要ないと云うことです。

   さて、この患者さんのTreadlmill解析があります。

   answer(2/2)で、ご報告です。



2015_9_27_2

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