40才代男性の胸焼け症例の、経時的心電図変化を見てみましょう。
*III, aVF 誘導の変化は、いかにも虚血性変化です。
*II 誘導は、(私は関係ないですよ)的に、正常化しています。
*aVLのST低下と陰性T波は、正常化と云う変化を示しました。
⇒ミラーイメージですので、元が治れば、戻ります。
* I 誘導のちょっとしたST低下は、もう分からなくなりました。
*その気になって眺めると、V2,3のT波は少し尖ってきました。後壁の陰性T波のミラーイメージかもしれません。
*なお、(X+6day)の心電図では、III誘導の変化。aVFのわずかな変化。II 誘導は正常です。この心電図だけだと、虚血はむしろ否定されます。
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特に、PCI直前の心電図を、別にご覧下さい。
心電計自動診断は、【正常範囲】となっています。確かに、この心電図だけを臨床情報なしで見ると、そうなってしまいます。
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経時変化で見ると、確かにACSは強く示唆されますが、これでは緊急のPCIに、間に合いません。酵素学的変化がきちんと揃った段階では、ゴールデンタイムを逸するかもしれません。
臨床症状以外で頼りになるのは、やっぱり心エコーでの壁運動評価です!
でもね、後壁の壁運動障害は、けっこう見落とされるんです。多少壁運動が悪くても、動いているように見えるんです、慣れないと。
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静止画では、わかりにくいのでyoutube経由の動画で、確認して下さいね。(後壁が動いているように見えるかもしれませんが、それは横ずれの動きのみで、左室腔を絞り込む動き=systolic thickningが、認められません。健常例と比較してみて下さいね。)
(ECG-216での左室後壁の壁運動障害)
( 正常壁運動の症例)
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