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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-226:answer

改訂しました(2020/11/7)

 

 結論を提示します。

 受診後、速やかに施行したCAGの所見です。(そのままPCIになりました)

Ecg226cagforweb

クリックすると、拡大します。

 

 

 前下行枝(LAD #6)の90%stenosisです。

 心エコーでは、心尖部(中隔より)のhypokinesisを認めるも、壁の菲薄化は、ありませんでした。

 経時的に、優位のCPK上昇は無く、max値も正常値の2倍を超えませんでした。 トロポニンーI値は、2.14 ng/mLまで上昇しました。

 病歴を含めて、不安定狭心症(Unatable angina)の診断で、よろしいかと思います。PCI後は、胸痛も合併症も生じておりません。

 DAPTの開始。生活習慣是正指示。本気の脂質コントロール等で、1週間で退院となっております。

 

 

 

 さて、再度搬入時の心電図を、見てみましょう。もちろん、UAPを疑って見ることにします。

Ecg226forweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

 確かに、ACSを示唆する所見はあるんです。

 V1-3のST上昇。V3でのT波の尖り具合。

 但し、この場合対側誘導のなる II, III, aVF でのST低下ははっきりしませんでした。

 このような心電図で、ただのnormal varietion も、現実にはあります。内科外来で、採血されたCPK/CK-MB値も、正常範囲内でした。心エコーでの壁運動障害も、軽度〜中等度で、範囲は広くありません。

 対応した循環器医は、V1-3のST上昇から、STEMIとして、緊急PCIを選択しています。

 

 次に、経時的心電図変化を提示します。

Ecg226forweb_2

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

 

 

 V1-3のST上昇は、PCI後に改善しています。尖ったT波も、次第に穏やかな形に戻りました。

 でも、陰性T波・二相性のT波は出現しませんでした。

 

 

 この症例は、初学者には、むしろ優しいかと思います。STEMIじゃん、他にないでしょ?と。

 心電図に慣れて、読み込むと、むしろ迷いそうです。これくらいのST-T変化は、健診例でも見ることがあります。

 残念ながら、今回は以前の心電図が手に入りませんでした。比較はできません。

 もし何も症状が無かったら、診断に苦慮したでしょう、私は。

 

 臨床情報との詰め合わせで、心電図は診断して下さいね。

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UAP(unstable angina pectoris)は、静かに退場しております。全て、ACSの中に収集されました。(2020/11/7)

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