【 謹賀新年 2017 】
90才代女性の入院後の心電図です。
今回は、高齢者の房室伝導を、考えてみます。
多かれ少なかれ、高齢者はSSSであり、房室伝導に問題を生じやすいのです。治療適応があるかは、別として。
安定期の心電図を、見てみます。
洞調律です。(aVRで陰性T波, aVFで陽性T波)
wide WRS を呈しています。
V1,2 でM型QRS。V6で幅広いS波。 CRBBBです。
II,III,aVFで、S>>R で、左軸偏位。
I 度房室ブロックは、ありません。
ECG-207でも、同様の症例を提示しました。
その違いは、最後に残った(左脚後枝) が、切れっぱなし(ECG-207)か、断続的に切れるのか(本例)、なんですね。
ECG-207では、 I 度房室ブロックもあり、最後に残った左脚後枝が伝導障害を起こしているのが、わかります。
ECG-224では、左脚後枝は繋がったり・切れたり、突然起きています。
房室伝導障害時は、仕方が無いので、心室の異所性ペースメーカーが作動します。50bpmよりちょっと速い、そんなに幅広くないCLBBBです。これにより、血行動態は保たれました。車椅子坐位レベルまでなので困らなかったのかも、しれません。
これを、補充調律( Escape rhythm )と呼び、心室固有調律( Idioventricular rhythm )となります。
完全右脚ブロックと完全左脚ブロックが、ランダム現れて、慣れないと多少混乱を起こしますね。
緊急ペーシングは、血行動態の破綻(患者さんが困っている)場合で、いいんです。慌てない、患者観察を優先です。
さて、2017年度内で、ECG-300となるのが、目標です。
今年も、このwebsiteに時々遊びに来られてください。m(_ _)m。