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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-351:answer

50才代の男性でした。

このER心電図のみで、ACSと決め付けるのはちょっと無理でしょう。どう判断するの

か?

 

=これは、De Winter T waveがらみのCRBBB-LAD ACSと読み解くべきですね。その観点で見直すと、下壁誘導のST低下があります。aVRのSTも上昇か??病変部は、LADのそんなに近位部ではありません。けれど、LCxとの二枝病変ですので、有意に捉えてよいかと考えます。2021/21/5=

 

普通のCRBBBの心電図との比較を、見てみましょう。

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CRBBB onlyでの穏やかなST-T変化を見て下さい。

ER心電図は、T波がV2から伸び上がった感じです。

もっとも、症状がなければスルーするだけでしょう。

 

 

 

 

ER心電図を、詳細に解説してみます。 

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*V2-5、I 誘導、aVL誘導でST上昇があります。T波がやや高い感じです。

*II, III, aVFで、僅かなST低下があるようです。

これらの読みは、やり過ぎかもしれません。

安定期の心電図と比較するのが、一番良いのですが、今それは入手できません。

 

これに、臨床的意味(=緊急性)を与えるのは、

*現病歴(胸痛頻度増加、怠薬)・リスクファクター(脂質異常症、喫煙)・理学的所見となります。

 

不安定狭心症では、発作の極期しか壁運動障害が出てこないかもしれません。軽度の壁運動障害は、けっこう見慣れていないと判断に迷います。

 

PCIが緊急で施行されました。

 

(pre-PCI  LCA CRA30°)

[http://:title]

 

(pre-PCI  LCA LAO30° CRA30°)

[http://:title]

 

 

(pre-PCI  LCA RAO30° CAU30°)

[http://:title]

 

(PCIの解説図)

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前下行枝の病変と回旋枝の病変の鑑別が、ちょっと難しいのですが、2枝病変です。

 

緊急時として、LADへのPCIが施行されました。

 

 

(post-PCI  LCA RAO30° CAU30°)

[http://:title]

 

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後日、LCXへのPCIも施行されました。

 

経時的心電図変化です。 

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PCI直後より、胸部誘導のT波陰転化が始まります。X+2daysでは、巨大陰性T波(GNT)となりました。ここだけみると、たこつぼ心筋症と考えそうです。

三ヶ月後の心電図が、UAP発症前の心電図と同じなのかもしれません。

 

心筋酵素の変動です。 

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*CPK値は、正常上限の二倍を超えませんでした。以前の分類ならば、不安定狭心症です。

*トロポニン-I値は、有意の上昇ですので、ACSです。

 

では、コンサルトとした循環器医の言葉です。

 

 

 

 

X:これだけ典型的な症状があるのに、ACSとして扱わないの?

Y:PCI歴・heavy smoker・スタチンと(たぶん)抗血小板剤の怠薬。Xと併せてACSと考えよう。(結果が、AGMLだとしても・・)心筋酵素が上昇していないのは、サルベージする価値が高いということさ!

Z:よって、以前の心電図はないけど、これはSTEMIと考えよう!

PCI準備を)急げ~。

 

です。

 

ブルース・リー 曰く

 

Don’t think, feel.