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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-231 : Answer

 心房細動であることは、すぐに理解できますね。

*P波の欠如

*絶対的不整

*f波の存在(十分条件)

 全ての条件が揃っています、心房細動の。

 洞調律のQRS/ST-Tと、今回の心房細動時のそれは、殆ど変化有りません。MVP/MRにでは、心負荷があっても、あんまりST-Tは変化しません。ここが、大動脈弁疾患の心電図と異なる部分です。左室肥大となり難いんですね。

 他方、左房にはMR/MVPにより直接負担がかかるので、心房細動にもありやすいんです。そして、心房細動化は心臓の負担が、限界に来ている徴候です。

 心房細動の治療は、DC-shockを除き、以下の様になります。

◎ 薬物療法。抗不整脈薬による洞調律維持。

◎ カテーテル・アブレーションによる心房細動治療。

◎ 心臓外科による、僧帽弁形成術とMaze手術。

  高血圧・糖尿病・喫煙と、リスクが揃っており、治療の基本として、DOACによる抗凝固療法を始めました。頻脈のコントロールとして、β-blockerを追加しています。

 MVP/MRがあるために、抗不整脈薬を使用しても、洞調律の維持は難しい状況です。カテーテル・アブレーションのみでも、心房細動再発のリスクは高いと思われます。

 外科手術により、MVP/MRを治療し、さらにMaze手術で心房細動を抑止します。今回は、ここまで行う方針となり、心臓外科を持つ連携施設へご紹介となりました。

 今回の心電図は、(ただの心房細動)でした。この症例をどう治療するかは、文脈(この患者さんの置かれた状況)に即して決定されます。

 超高齢者では、何も介入せず、経過観察もあります。同じ心房細動でも、対応が異なることがある、が今回の学びのつもりです。

(僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流) 

  PML:Posterior Mitral Leaflet = 僧帽弁後尖

  MVP:Mitral Valve Prolapse=僧帽弁逸脱

Ecg231mvpforweb


(僧帽弁の構成図) 

前尖をA、後尖をP。

三分割して、1,2,3 と割り振っています。

Ecg231forweb


 なお、この症例は、ECG-128のその後の経過です。外来でのお付き合いが長い患者さんでした。

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