分かりやすい心電図です。でも、一応解説を。
II, III, aVF のST上昇が、メインです。ミラーイメージとして、aVL のST低下もあります。
ST上昇は、III>II で、RCA病変を示唆しております。
V5,6 で、STが上昇しています、よく見ると。
下壁の急性心筋梗塞です。胸部誘導でのST低下(V2,3,4 付近)は明瞭ではなく、心電図上の後壁梗塞は、はっきりしません。
この症例の緊急アンギオの所見です。
右冠動脈(RCA)の#4AVの99%狭窄でした。PCIで解除しています。
虚血領域は、下壁/側壁の領域です。あまり大きくありません。
X+30dayの心電図です。
発症時(Xday)と、(X+30day)の比較です。
X+30dayでは、II, III, aVF の異常Q波と陰性T波が出現しています。
V5,6 では、STは基線に戻り、V6 に僅かに陰性T波を認めます、よく見ると。
4AVのみのACSは、回旋枝の末端(#13~#15)のそれと、ほとんど同じ領域です。心電図での鑑別は、困難です。
最も、普通に緊急のPCIへ持ち込みこんで、確定されます。
心カテが出来ず保存的に加療するならば、その責任冠動脈の同定はあまり意味を持ちません。
上記の様に、微細に読まなくても、ACSと瞬時に理解し、循環器医師をコールできれば、心電図の役割は十二分です。
この様なケースもあるんだと、思って下されば、今回の学びは終了です。
.
.
.