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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-355:answer = 心電図検定試験:傾向と対策 Q.003 =

左冠動脈主幹部(LMT)病変です。緊急対応です。

 

aVRのST上昇が、心電図診断の決め手です。

 

とは云っても、ピンと来ませんよね。

 

冠動脈は大きく3本です。

  *前下行枝  (LAD : Left Anterior Descending artery)

  *回旋枝   (LCX : Left Circumflex artery)

  *右冠動脈  (RCA : Right Coronary artery)

 

(心電図検定問題では、略号・英語表記は使用されないようです。)

 

冠動脈の分布図は、

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左冠動脈主幹部  ⊃ 前下行枝   + 回旋枝

 

なんです。

 

主幹部がクラッシュすると、2/3の心筋が動けなくなります。突然発症のショックになります。歩いて来ません。

病院までたどり着いた主幹部病変のACS患者さんは、発症初期に来院なので、心筋トロポニン値すら上昇していません。

 

LMT病変により広範囲に心筋障害が発生すると、心電図変化がハッキリしないことが、よくあります。前下行枝と回旋枝が、互いにマスクし合って、ST-T変化を牽制してしまいます。

 

II, III, aVF =右冠動脈支配領域のみ、ミラーイメージとしてのST低下が生じることが、よくあります。(RCA領域まで虚血では、病院にたどりつけません)

 

aVRは、心内腔を見る誘導[cavity lead]と呼ばれます。

*心内膜の広範な虚血の反映。

*心基部の虚血の反映。

との二つの解釈があります。

 

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その気で見ないとaVRのST上昇は見落とします。(日頃見てない誘導ですから。)

数ミリのぱっとしないST上昇に留まっていることも多い。

 

 

 

以下、他のLMT-ACSの症例を提示します。

 

==LMTの血栓性塞栓を来した症例 No.2==

 

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全誘導でST-T変化が生じている、不気味な心電図です。

aVRは、著明なST上昇を示しています。このように単純な説明が困難なショックの心電図はLMT病変を想起して下さい。

 

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ER的診断は、下壁しか動いていない広範囲な壁運動障害を、心エコーで確認することです。

 

 

 

 

==LMT-ACS来した症例 No.3== 

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よくわかんない心室内変行伝導です。

P波もあるのか、ないのか。。

V2-5のT波増高も気になるけど、変な形です。

基線もぐらついて、四肢誘導は読みにくいのですが、

 

aVRのST上昇に気付くのがポイントです。 

 

よく分からないショックは、12誘導心電図のaVRに着目しましょう。

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==CPAで搬入されたLMT-ACS症例 No.4== 

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蘇生直後のER記録の心電図です。体動が激しく基線が揺れています。RBBB様の心室内変行伝導です。

なんかaVRでST上昇が有りそう。

(こんな心電図は、さすがに設問に使えませんが)

 

挿管/人工呼吸器管理/PCPS/IABP作動状態で、心カテ中に記録した心電図です。 

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心内変行伝導の形が変化しました。

下壁誘導(II, III, aVF)と側壁(aVR)でのST低下があります。

aVRのST上昇が明らかです。

 

aVRのST上昇は、1.0mm以上で有意とします。

 

 

LMT-ACSの特徴は、

 

【aVRのST上昇のみが、LMT-ACSの所見のことがある】

 

【aVR以外の誘導が広範にST低下を示す例もある】

 

【1.0mm以上のST上昇で有意とする】

 

【そのつもりで見ないと、aVRの所見は見逃します】

 

 

 

 

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