明日のために ACS 心電図
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ACS心電図の考え方です。
ACSの心電図-001
ACSの心電図-002
胸部誘導(V1-6)と、冠動脈・二心房/二心室との三次元的関係図です。
V1が右室誘導と呼ばれ、
V6が左室自由壁の誘導である。
この関係を理解して下さいね。
ACSの心電図-003
肢誘導は、カブレラ誘導に並べ直すと、その連続性が分かります。(検索:カブレラ誘導) 心尖部は、(-aVR)です。 教科書的正常心ならば、II誘導のR波が一番高くなります。 まず、正常波形を体得 して下さい。
ACSの心電図-004
胸部誘導の正常心電図例。 V5が一番R波が高くなります。 (女性のV1の緩やかな陰性T波は、よくあります。) このイメージを持って下さい。
ACSの心電図-005
D1(or high lateral)を含まない場合の前壁中隔のACS 右室誘導のV1,2でST上昇するのは、右室壁の下の分厚い心室中隔の虚血のために、反応しちゃうんですよね。 V6で、ST-T変化が出にくいこと も注目です。
ACSの心電図-006
広範囲前壁梗塞 (#6 proximal)の閉塞で、D1を噛んでいる。
V1-5(or6)まで、ST-T変化が拡がります。
たぶん、I,aVLでも変化あり。この辺は、側壁にどれだけ分枝が拡がっているかで決まります。
右図は、LAO viewです。
赤い血管がLADで、左室の赤い部分が支配領域です。
ACSの心電図-007
回旋枝のACSは、難しいし、分かんない(・_・?)ことも多い。
LCXの閉塞部位・流れ方で、変わります。
I,aVL,V5,6で全てST-T変化があれば、分かりやすい。
高位側壁・側壁の違いに、あんまり拘らないでね。
ACSの心電図-008
高位側壁のACS心電図とは、I,aVL誘導のST-T変化があることです。
I誘導は、側壁全体を見ているので、ST-T変化します。
aVLは、左肩から心臓を見ている、ですよね。これが変化しないと、高位側壁病変と心電図上は呼べません。
#12 , D1またはhigh lateralの病変です。
ACSの心電図-009
左室の高い所(頭側)でACSが起きると、aVLでのST上昇が発生します。D1でも、LCX(OM1)でもどちらでもあり。
なお、回旋枝領域は体表面から一番遠いので、12誘導心電図ではボンヤリすることが多いんです。
ACSの心電図-010
さて、右冠動脈です。
# 1~4に分かれています。
# 4が、左室の後下壁を灌流しています、つまり。。
# 1~3は、# 4への導管に過ぎないのです!
と極論も出来ます。右室梗塞を除けばですが。
ACSの心電図-011
# 4を見てみると、回旋枝の支配領域とかぶるんですね。
これは個人差があります。
いわゆる、(後壁をどっちが灌流するか)なんです。
ACSの心電図-012
下後壁のACSは、12誘導心電図+心エコー(POCUS)で、責任冠動脈を推定します。
心電図だけでの鑑別は、ムリ!! が私の立場です。
でも、私は(心電図検定試験)の出題者ではない。。
次の図は、傾向と対策です。
房室ブロックと明瞭なV4RのST上昇は、さすがにRCA-ACSですね。
ACSの心電図-013
ACS心電図の掟は、この二つだけです。
*隣り合う二つ以上の誘導でST-T変化を認める。
(カブレラ誘導が必要な理由でもあります)
*ミラーイメージを生じる。
ACSの心電図-014
一番有名なミラーイメージは、後壁のACSでの
ST上昇が、V1-3くらいでST低下として表されるもの。
もう一つは、下壁梗塞時のaVL(and I 誘導)でのST低下。
(II,III,aVFでのでのST上昇がイマイチな時に、aVLでST低下があるとACSと判断するのが、循環器屋です)
ACSの心電図-015
なお、ERの現場では、
「RCAかLCXかなんて、どうでもいいから!とっととカテ室に運ばんかい!!!」
となるのは、tokさんが仰有る如くです。
これで(心電図検定試験の模擬戦)のための事前講座は、終わりです。
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。
日本医事新報社からです。重版されました。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
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【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 医事新報社】
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