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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-246:answer

 60才代男性。夜の胸痛です。

 派手な心電図ですね。全ての誘導でST-T変化を認めます。

 グループ化して、まとめてみましょう。


Ecg246stweb

Ecg246stweb_2


(A) II, III, aVF ST上昇が、メインです。

    ST上昇は、III>II です。

(B) V4,5,6 で、STが上昇しています。V5,6 で、ST上昇は明瞭です。

(C) I, aVL ST低下が、認められます。

(D) V1,2,3 で、STが低下しています。

(E) あと、P波がハッキリしません。徐脈でRR間隔は整です。

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 ACSだと判断した場合で、ST上昇と低下が両方あれば、ST上昇部分が、責任病変です。

   (A)と(B)より、下後壁のACSと考えます。

    →ST上昇はIII>IIで、たぶんRCA病変。

 (C)は、下壁のACSに対するミラーイメージST低下です。

 (D) は、後壁のACSに対するミラーイメージST低下です。

 (E) は、RCAACSで、よく見かける所見です。この症例では、直接的洞房結節枝への虚血はありません。迷走神経の過緊張による徐脈と、されています。

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 この症例の緊急アンギオの所見です。

(PCI前の造影)

Ecg246cagpci

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(PCI前後のRCA)

Ecg246cagpciweb

 

 右冠動脈(RCA)の#3の完全閉塞でした。PCIで解除しています。

 虚血領域は、下壁/後壁/側壁の領域です。小さくありません。

 CAGを見ると、回旋枝が大きくない。相対的に、右冠動脈の支配領域が、大きくなっています。

 これが、心電図変化を多様にしている原因でしょう。

 同じ下後壁の虚血でも、その冠動脈・閉塞位置・支配領域・体型の個体差・発症からの時間・基礎疾患の併存等で、心電図はバリエーションを示します。

 連続して、いろんな虚血心電図を提示しました。これからも、です。

 いろんなパターンを見て、目を慣らして下さい。

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