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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-253:answer

70才代女性です。呼吸苦が、一週間も治らずにER受診です。

 洞調律で、CRBBBです。

 異常q波が、V1-4まで認められます。

 ST上昇は、V1-5まであります。

 少し時間の経ったACSのようですが、半日経過したか、数日以上立ったのかは、この心電図だけからは、分かりません。


Ecg2533web


これに、下記の臨床情報が加わります。

*呼吸苦が、続いている。

*胸部レントゲン上のうっ血所見が、認められる。

 CPK=208 U/L、トロポニン-I=14.65 ng/ml、BNP=2852.4 pg/ml (at ER)

*CPKは既に高値では無く、トロポニン・BNP値は高値示している。 

*収縮期の心雑音が、明瞭である。 

 これらを、ベースに診断を考慮すると、亜急性期のACSですね。

 この心雑音を、どう考えるかでしょう。

 もともとある心雑音なのか、今回のACSで発生したのか?

 新規発生の心雑音であれば、

  •  僧帽弁逆流 (虚血性の乳頭筋不全による)
  •  心室中隔穿孔(VSP : ventricular septal perforation)

 の鑑別が必要です。

 追加の証拠固めは、心エコーです。


Ecg2535web

 ERでの心エコーによるVSP診断のコツは、右室内モザイクエコー(=高速血流)を、見つけることなんです。初めから穴(穿孔)を見つけようとはしません。

 高速血流を右室内に見つけてから、心室中隔穿孔部位を探します。

 ACSでは、壁運動障害を確認したら、心エコーをお終いに=心カテを急ぐあまり=しやすいですが、1分でいいんですよ、color dopplerは。

 もちろん、VSPは心電図からは予測できません。その予測は、上記の情報の総合で行われます。

 この患者さんには、準緊急のVSP閉鎖手術が行われています。冠動脈造影では、

  •   二枝病変でした。
  •   前下行枝(#6)の完全閉塞。
  •   遅延像で、側副血行路によるRCA(#3,4)が見えています。
  •   右冠動脈(#1)の完全閉塞。
  •   同枝間バイパスで、#2が見えています。

Ecg2534cagweb

【 亜急性期のACS心電図なのだと、臨床所見も併せて想起する 】

 これができれば、初期研修医は卒業です。






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