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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-252:answer

  ふらつく80才代女性でした。

 これほどの徐脈であれば、ふらつくのも無理ありませんね。

   33bpmです。整脈です。

 

 では、心電図診断です。 

Ecg252web

クリックすると、ECGが拡大します。

*徐脈ですが、RR間隔は、整です。

*P波がありません、見えません。

*基線がフニャフニャしています。規則性のない揺れ。

CRBBBです。

*高カリウム血症のような尖りTなし。

*異様なST上昇/低下無し。

 心房細動患者に発生した完全房室ブロックと考えるのが、妥当だと思います。

  心エコーでの壁運動障害は、ありません。左房もあんまり大きくない。

 CPK,心筋トロポニン値の上昇も、ありませんでした。高カリウム血症も認めません。BNP値は、僅かに上昇。冠動脈造影では問題を認めず、一時ペーシングを経て、永久ペースメーカー植え込み(VVI)となりました。

 完全房室ブロックは、白熱電灯がブッチと切れるように、いきなり起きることが、殆どです。少なくとも、そうやって循環動態が壊れてしまった方が、ER緊急受診となります。 


Ecg252vvipmiweb


 なお、双極リードがほとんど全ての現在では、pacing spikeはとても小さいです。心電図を読むとき、気をつけて下さい。

 PaceMaker本体も、とっても小さい。ふくよかな方だと、胸部を見ても気付かない時あります。当院は、形成外科医がポケット形成したりするので、手術創も見落としそうです。

 完全房室ブロック(心房細動付き!)では、薬物性の徐脈(ジゴキシンCCBβ-blocker等)・ACS・高カリウム血症を除外しつつ、一時ペーシングを考慮して下さい。

 永久ペースメーカーの適応は、それからゆっくり考えましょう。