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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-378:answer #心電図検定試験 Q-3

 Question-03  回答

 

*正解は、

 

選択枝4).  A=HCM, B=OMI, C=CHD, D=Tako

 

でした。

 

 

 

まず、以下の認識を致しましょう。

 

全てのST-T変化は、非特異的である。

 

 

今まで学んだことは、何なんだ~!!

と怒らないで下さい。

もうちょっと、穏やかに云いますと、

 

絶対的な所見では無いんだけど、疾患毎にそうなりがちな=ある程度特有な=ST-T変化はある。

 

曖昧な・微妙なST-T変化で、特に意味付けに困るような場合の方が、多いんです。

 

今回は、これくらい特徴的な変化をしていたら、#心電図検定試験に出してもいいよね、という心電図です。

 

陰性T波と云うだけで、診断は出てきません。

 

 

 

1.) 陰性T波の分布は、どうなっているのか?

 

 

2.) どんな形をした陰性T波(inverted T wave)なのか?

 

https://www.patientcareonline.com/view/inverted-t-wave-differential-diagnosis-adult-patient

 

 

3.)他の心電図所見はどうなってるの?

 

この三点から、陰性T波の教えを、探します。

 

 

 

 

 

1.) 陰性T波の分布は、どうなっているのか?

 

胸部誘導は、電極周辺を広く反映しています、直下だけではありません。

反対側(ミラーイメージ)や、お隣の変化にも影響されます。

連続したST-T変化だと思いましょう。

反映するareaは、アバウトに理解して下さい。

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クリックすると、拡大します

 

 

2.) どんな形をした陰性T波(inverted T wave)なのか?

 

緩やかな陰性T波。

いわゆる冠性T波(陰性で対称性のT波)。

Starin型のST-T変化。

なんとも云えない複雑なST-T変化。

 

2.) 他の心電図所見は、どうなっているのか

 

左室肥大があるのか。右室肥大があるのか。なにもないのか。

軸偏位があるのか。

脚ブロックが重なっているのか。

 

 

 

 

#心電図検定試験 Case-1 (HCM)

 

胸部誘導のHigh voltageとST低下・陰性T波で、左心負担はすぐ理解されます。

 

左室肥大を起こす病態(重度高血圧 / 大動脈弁疾患 AS,AR)も十分考えられます。

 

選択枝に、ASとHCM両方があったら、切り分け困難です。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

肥大心だからと云って、P波に左房負担が出るとは限りません。あんまり当てにならない。(Morisの基準が当てはまったら、そうとう大変な状態か、COPDです).

 

左室肥大を起こす病態(重度高血圧 / 大動脈弁疾患 AS,AR)も十分考えられます。これらは、strain patternをとりやすい。

 

特に心尖部肥大型心筋症(Maron-V型)では、複雑なST-T変化をとりやすい。R波高電位にこのようなST-T変化まであったら、HCM/HOCMの可能性が高まります。

このような陰性T波の出現は、局在した肥大を示す心筋(心尖部)の内膜側と外膜側の興奮時相のずれが原因とされています。

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse1981/21/2/21_2_132/_pdf/-char/ja

 

 

 

 

#心電図検定試験 Case-2 (anteroseptal OMI)

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

陰性T波が、V1-4に拡がっています。冠性T波です。

V1-3は、R波の伸びが悪い。Poor R Wave Progression

 

PCIが当然の事として行われる現在は、なかなかQS patternになりません。壊死部が縮小しています。

 

V1-3のr波は、虚血部位に残存したviabilityを持つ心筋の反映でしょう。

 

 

 

 

#心電図検定試験 Case-3 (PHT due to ASD)

 

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クリックすると、心電図が拡大します



 

V1でLVH様の波形があれば、それはRVHカモ。

極度の右軸偏位を示しています。

II,III,aVFでの肺性P波=右房負荷。

右心負荷時は、右室拡大がほぼ必発です。移行帯の時計方向回転あり。

 

この年齢でこの心電図は、CHDによる肺高血圧症を示唆します。確定診断は、心エコーです。

 

 

 

 

#心電図検定試験 Case-4 (Takotsubo cardiomyopathy)

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たこつぼ心筋症の心電図として取り上げるのは、

 

*Apical ballooningを起こすtypeだけです。

*mid-ventricular/basalの壁運動障害では、特有の心電図変化はありません。

 

 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

心尖部を中心に電極の配置を見ると、多くの誘導で ST-T変化が発生するのが分かります。

 

*V1のST-Tに動きが無い時に、たこつぼ心筋症を想起する。

 

*V1のST上昇が有れば、たこつぼ心筋症は除外とする。少なくとも、心電図検定試験上は無い!(実際は迷うことありますが、派手な変化は無いはずです。) 

 

 

 

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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。

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まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。

 

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