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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-350:answer

80才代の女性でした。

 

研修医Bさん:先生、調べてみました。

1.)びまん性の求心性左室肥大があり、高血圧・大動脈弁疾患がない。

2.)胸部誘導でQSpattern又はPRWPを呈し、低電位を示す。

この場合、心アミロイドーシスを強く示唆する。ですよね。

 

指導医T:ストライクだ。但し、strongly suspectedであって、あくまで臨床推定にまだ留まるんだ。

 

研修医Bさん:鑑別疾患は、

*肥大型心筋症

*Fabry病

*心サルコイドーシス

*急性心筋炎

(当然、高血圧心・大動脈弁狭窄もある)

などなど。

 

指導医T:心電図上の特徴は、

  • 胸部誘導でのPRWP (or V1-3のQS pattern)
  • 胸部誘導の低電位化

これが最も多いんだ。他に

◎軸偏位

◎HCM,ASで見られる左室高電位・ST-T変化が無い

が、ある意味大切な所見だよ。

 

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クリックすると、心電図が拡大します



 

研修医Bさん:心エコー(POCUS)で迫られる所見は?

 

指導医T:確定診断にはならないんだけれど、

  • びまん性の左室肥大

☆心筋内斑状エコー輝度増強

 (granular sparkling appearance)

☆これがM-modeで、心筋内多条並行エコーとなる。

さらに、

★心房中隔の肥厚(amyloid沈着)

★弁膜の肥厚(amyloid沈着)

★ASHがないこと。(HCMとの違い)

★大動脈弁の開放が正常(ASがない)

もある。

 

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クリックすると、拡大します

ドプラ関連でも、いろんな所見あるけど、これは超音波の医師・技師さん達におまかせだよ。(POCUSの域を超えてます)

 

 

 

 

研修医Bさん:他に有用な検査は?

 

指導医T:ご多分にもれずMRIが有用らしい。ピロリン酸心筋シンチが左室全体で陽性になるのもある。

 

 

研修医Bさん:じゃ、それらが揃ってしっかりした考察が出来れば、症例発表ですね。

 

指導医T:それくらいは出来ると思うけど、病理学的確定(=心筋生検・剖検)がないと、査読者から突っ込まれることもあるようです。この症例は、予後改善を望む年齢ではないので、ほどほどで終わったんだ。

 

あと、アミロイドーシスの基本はちゃんと学んでいてね。

 

http://amyloidosissupport.org/AmyloidAware_Japanese.pdf

 

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/48/4/48_428/_pdf/-char/ja

 

 

 

web心電図問題でも例題あるよ。

http://www.mochida.co.jp/dis/guidance/electrocardiogram/q64.html

 

 

 

【低電位の前壁中隔梗塞様で、心エコー上の著明な心肥大は、心アミロイドーシスを積極的に疑う】

 

 

 

P.S.

研修医Bさん:これ、心電図検定試験に出ますかね?

 

指導医T:検定試験は、(心電図のみ)勝負なので、設問には馴染まないよね。でもボクが作るなら、PRWP症例を提示して、誤りはどれかの問題で引っかけるのはありかな。。

研修医Bさん:先生、なかなかいじわる(腹黒い)ですね。。