お師匠様の講演会を、12/15に開催しました。
その会で、いろんなお話しをお聞きしました。その中のひとつを、私なりに拡大して、ご紹介します。(よって、私の私見がだいぶ入ってますので、文責は私です)
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◎移行帯(の場所)は、あんまり気にしない。
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移行帯(transient zone)とは、胸部誘導で R=S波高となる部分です。たいていは、V3-V4の当たりにあります。
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クリックすると、ECGが拡大します。.
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胸部誘導電極が、右室側にあるとR<Sとなり、左室側に移動するとR>Sとなる。移行帯は、心室中隔の上にある。と云うわかりやすい説明を、私は長いこと信じていました。
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ですが、CT・MRIで気付くのですが、心臓の形・回転は、かなりの個体差があります。意味を持たないことも多いので、移行帯はあんまり気にしない。
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意味がある例を、以前ブログに提示しておりました。
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**後壁梗塞で移行帯が、反時計方向に回転する:ECG-042**
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クリックすると、ECGが拡大します。
クリックすると、ECGが拡大します。
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後壁の梗塞でQ波が生じると、ミラーイメージとして胸部誘導のV1-3のR波が高くなることがあります。この症例での尖ったT波(V1-3)は、後壁のT冠性波です。
結果として、移行帯が反時計方向に移動しています。
経時的に見ると、なるほどそうですね、と理解出来ます。
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**PTEで移行帯が、時計方向に回転する:ECG-131**
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クリックすると、ECGが拡大します。右心系が拡大する後天性の病態では、心室中隔が時計方向への回転→移行帯の回転でV5,6となる。
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この様に、発症前後で比べると、なるほどと理解出来る、症例が確かにあります。
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しかし、これを一般原則とすると、話が合わない症例が多数出てきます。いつ見ても移行帯は同じで、何も困っていなければ、そっとしておいてあげましょう。
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【 移行帯の偏位は、あんまり気にしない 】
【 気になる時は、胸部レントゲン・心エコー・CT胸部と相談する 】
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病歴と理学的所見と、なにより医学的常識を働かせれば、不必要に検査を増やさなくてもいいんです。
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