#blog-title{font-size:150%; }

Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-339:answer

 90才代の男性で、(循環器的)緊急性のない状況での記録です。

 まず、伝導障害について。

f:id:heart2019:20191014171028j:plain

クリックすると、心電図が拡大します

 

CRBBBです。

*左軸変異(LAD)があります。左脚前肢ブロックあり。

I 度房室ブロックあり。

 

三枝ブロックです。

 

完全房室ブロックに移行するリスクが高く、要注意症例ではありますが、とくに問題(徐脈・失神)は起きていません。超高齢で困っていないので、これは経過観察としました。

 

 

私が???と思ったのは、

◎V5,6で、R<<Sのままであること。

◎よって、移行帯がV7以後になったままであること。

です。

 

 

ここをどう考えるかが、問題でした。

病態はいくつかあり得ます。

 

先天性心疾患による(左右短絡→右心系拡大・右室圧上昇)は、胸部レントゲンで肺動脈拡大も無く、ちょっと考えにくい。

肺塞栓症ありだが、DDimer上昇なかった。心筋酵素の上昇も認めなかった。

 

なんて難しいことを考えるより、体型的な問題を大切にしました。

 

胸部CT画像です。

f:id:heart2019:20191014171146j:plain

クリックすると、拡大します

ちょっと漏斗胸であることが分かります。(もちろん胸を見れば分かります。理学的所見とか格好つけなくても。。)

横断面で、左室が後方回転しています。

冠状面で、左室がごろりと横に寝ています。横位心です。

 

 

 

 

正常心と比べてみましょう。

f:id:heart2019:20191014171215j:plain

クリックすると、拡大します

左室の長軸が後方回転しています。(=時計方向回転)

大動脈弁位置が、横隔面に近づき左方移動しています。これは、動脈硬化による上行大動脈の長軸方向延長(=elongation)

なお、漏斗胸だけでこれらは説明出来ません。軽症すぎるので。 

 

 

 

心エコーで、左室短軸像を記録しました。

Poor imageですが、これ以上キレイに描出出来ませんでした。

f:id:heart2019:20191014171259j:plain

クリックすると、拡大します

*右心系の拡大無く、左室壁運動も良好です(これは他の断面でも確認しました)。

*ごろりと心臓が回転したために、右室が胸壁前面を中心に存在しています。

 

 

 

[http://:title]

 

 

 

 

三枝ブロックの診断が、この症例ではキモなんですけど、極度の軸回転に注目しました。

その説明は、物理的心回転で説明出来そうです。

この視点も覚えておいて下さいね。