90才代の男性で、(循環器的)緊急性のない状況での記録です。
まず、伝導障害について。
*CRBBBです。
*左軸変異(LAD)があります。左脚前肢ブロックあり。
*I 度房室ブロックあり。
=三枝ブロックです。
完全房室ブロックに移行するリスクが高く、要注意症例ではありますが、とくに問題(徐脈・失神)は起きていません。超高齢で困っていないので、これは経過観察としました。
私が???と思ったのは、
◎V5,6で、R<<Sのままであること。
◎よって、移行帯がV7以後になったままであること。
です。
ここをどう考えるかが、問題でした。
病態はいくつかあり得ます。
先天性心疾患による(左右短絡→右心系拡大・右室圧上昇)は、胸部レントゲンで肺動脈拡大も無く、ちょっと考えにくい。
肺塞栓症ありだが、DDimer上昇なかった。心筋酵素の上昇も認めなかった。
なんて難しいことを考えるより、体型的な問題を大切にしました。
胸部CT画像です。
ちょっと漏斗胸であることが分かります。(もちろん胸を見れば分かります。理学的所見とか格好つけなくても。。)
横断面で、左室が後方回転しています。
冠状面で、左室がごろりと横に寝ています。横位心です。
正常心と比べてみましょう。
左室の長軸が後方回転しています。(=時計方向回転)
大動脈弁位置が、横隔面に近づき左方移動しています。これは、動脈硬化による上行大動脈の長軸方向延長(=elongation)
なお、漏斗胸だけでこれらは説明出来ません。軽症すぎるので。
心エコーで、左室短軸像を記録しました。
Poor imageですが、これ以上キレイに描出出来ませんでした。
*右心系の拡大無く、左室壁運動も良好です(これは他の断面でも確認しました)。
*ごろりと心臓が回転したために、右室が胸壁前面を中心に存在しています。
[http://:title]
三枝ブロックの診断が、この症例ではキモなんですけど、極度の軸回転に注目しました。
その説明は、物理的心回転で説明出来そうです。
この視点も覚えておいて下さいね。