この方は、数週間の経時的状態悪化を示しています。
その原因が、何かを考えましょう。
血痰と、肺水腫によるピンク色の泡沫痰(=肺水腫)の違いは、ピンと来ない初期研修医もいる(はずだ・・)と思うのも、指導医の知恵です。
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心電図を考えます。
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CRBBBで、洞調律です。研修医の云っていることは、正しい。しかし、そこで止まって、全体像が見えていません。
II, III, aVF に明らかなQ波を認めます。深さも幅も十分です。ST上昇を示し、一部T波陰転化しています。新旧を別として、心筋虚血としか判定できません。
V1-5 にST低下を示しています。CRBBBによる変化では、説明困難なST低下です。
全て合わせると、重度の心筋虚血が存在しているはずです。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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胸部レントゲンです。
これだけきれいな(butterfly shadow)は、久しぶりです。重度肺炎と疑いすぎて、読影結果を修正できなかったようです。CT画像も添えます。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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BiPAPで加療するも呼吸状態は、どんどん悪化しました。挿管し人工呼吸器管理としつつ、緊急の冠動脈造影となりました。
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RCA/LCXへのPCIにより、心筋血流を改善させて、心不全は安定化しております。抜管できました。
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経時的血液検査結果表です。
亜急性期のACSで、重度心不全を呈した症例へのPCIとなったようです。
心筋トロポニンは、心不全を反映して、なかなか軽減しておりません。
学ぶべき事を、以下の様に考えました。
【 ACSには、亜急性期で出会うことがある、と知るべし 】
【 ACS 心電図は、亜急性期/慢性期の判別は難しい 】
【 CRBBBは、慣れないと目眩ましになることあり! 】
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