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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-276 : answer(1/2)

   完全房室ブロック(CLBBB)を、前壁中隔心筋梗塞と勘違いさせる、国家試験問題の定番ですね。 

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クリックすると、ECGが拡大します。

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クリックすると、ECGが拡大します。

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   まず、wide-QRSと気付くことが必要です。そして、QRSと連結したP波の存在です。

   これから、鑑別すべきは、

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*  CRBBB

*  CLBBB

*  WPW症候群

*  ivcd ( intra-vetricular conduction disturbance  )

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 の三択になります。

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 QRSと連結したP波の存在で、上室性のリズムとなって、VTは除外です。

デルタ波は、ありません。

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  CLBBBの定義は、

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*  QRS幅が0.12秒以上である。(=wide QRS)

*  I , aVL,aV5-6 に septal-Qが存在しない。

  そして、

*   I , aVL,aV5-6 のQRSは上向きで、幅広く結節を作りやすい(十分条件か?)

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  Wide-QRS(0.12秒以上)を、完全(complete)とするは、我々が決めた定義です。文句は云えません。

  左脚が切断されているので、QRS初期に起きる心室中隔左室側→右室側への伝導がないはずで、I , aVL, aV5-6 に septal-Qが存在できません。

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  なお、左室が最後まで興奮するならば、なんでV5-6 に s波があるんだ?となりますが、V7-9 まで記録すると、s波は無くなります。心臓自体の回転のためだと思います。

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 現実的には、

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【 幅広いQRSで、一見(心室中隔梗塞様)だったら、CLBBBだろう 】

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 と、瞬時に判定しております、私は。

 あとは、上記の定義に戻って、頭の中で辻褄合わせしています。

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なお、この症例では左軸偏位が合併しております。

 心内伝導障害が強く、より心筋障害が強いことが示唆されます。

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 で、Xdayの障害については、answer(2/2)でご報告します。

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2015_9_27_2