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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-292:answer

ECG-292answer

   

70才代 男性の呼吸苦です。

心電図を見て、「何か変だな??」と思う感性を、大切にして下さい。

それこそが、心電図の役目です。

私(ECG)の訴えを、ちゃんと聞いて下さいな。

それを、読み解いてあげましょう。

何が変なのか、言語化しましょう。言語化=病態の理解が出来ないと、診断・治療までは、繋げません。

70才代男性で、呼吸苦の患者さん。これだけの情報で、まず解析してみました。


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クリックすると、ECGが拡大します。

1.)  一番変なのは、広範なST-T変化。

2.)  いわゆるstrain-patternを呈している。

3.)  その分布は、V1-5と、II,III,aVFとなる。

 この時点で、単純な左室肥大で説明困難と考える。

4.)  P波においては、pulmonary-P様である。

5.)  I 誘導では、R=Sで、右軸偏位となる。

6.)  いわゆる移行帯は、V5である。

これらを、総合して考えると、右心系の負担・拡大が、強く示唆される。

7.)  右脚ブロック様パターンである。

       しかし、V6のS波は深いが狭く、RVHの反映とも読み取れる。

総合所見:なんらかの肺高血圧・右心負荷所見。とにかく心エコー施行へ。

(心室の短軸像)

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(4 chamber view)

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 さらに、胸部CT所見を添付します。


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クリックすると、拡大します。

 左心系が、癒着により、後方に回っているのが、よく理解出来ますね。

 この方は、荒蕪肺化しており、下肺野は蜂窩肺となっています。

 右室の拡大は、心エコー上明らかですね。

 肺傷害による、二次性の肺高血圧・右心負荷です。

 V7-9まで記録しました。

 V6-9は、R>S波であり、左室の起電力を記録しております。

  なお、R=Sとなる移行帯の直下に、心室中隔があるとは、単純に思わない方がよいようです。あくまで、傾向程度に捉えて下さい。

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【 右心負荷による心電図変化がある、と云うことを知っておく 】

【 右心系の障害は心電図に、けっこう素直に現れる 】

  なお、通常は臨床所見と併せて心電図の判読をすればいいんです。心電図だけから、深読みする習慣は、お勧めしません。念のため。

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