CPA搬入の90才代男性でした。自発呼吸微弱の状態で、心拍動再開でした。
ERの心電図です。
*P波は、分かりません。
*RR間隔は、不安定です。
*かなりのwideQRSで、心拍毎に形が変わります。
*胸部誘導の異様なST低下に、目が行きますね
*V4,5,6で、ST上昇とT陰転化があります。
*I, aVLでもT波陰転化。
◎青ラインが、とてもワイドなQRS
◎赤ラインが、ST-T変化と考えました。
*aVRのSTが上昇しているような、してないような。。
死戦期の心電図様です。
ACSならば、LCXのVF後か、LMT病変クラッシュを考えます。
ERでの同位相6誘導心電図です。
散歩をしていて倒れた患者さんです。当然、緊急PCIを考慮するのですが・・。
この時点で、付き添って来られた奥さんから、病歴の聞き取りができました。
「はい、10年ほど前に3回風船治療(PCI)をして頂きました。」
「一番大事な所が何時詰まってもおかしくないんですよ、との説明も担当医の先生からお聞きしました。」
「のんびりやっていきたい。なんかあっても延命処置はしてもらわない、と云ってたんです。」
と、静かに仰有います。
すでに、挿管下で心拍再開させております。
心エコーでは、LV diffuse severe hypokynesisでした。
奥様とのお話の上で、HCUでカテコラミンも使用せずに、看取りとなりました。
蘇生後、2時間後の心電図です。
洞結節で、不思議な安定を示しています。
電位は全体的に低く、V4-6で僅かにST低下を示します。収縮期血圧は、60mmHg程度です。
CAGは施行しておりません。LMT病変クラッシュだったのでしょう。若い医師・コメディカルの力でCPA症例を多数受け入れていると、こんな症例も経験するんです。