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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-342:answer

 CPA搬入の90才代男性でした。自発呼吸微弱の状態で、心拍動再開でした。

 

 ERの心電図です。

*P波は、分かりません。

*RR間隔は、不安定です。

*かなりのwideQRSで、心拍毎に形が変わります。

*胸部誘導の異様なST低下に、目が行きますね

*V4,5,6で、ST上昇とT陰転化があります。

*I, aVLでもT波陰転化。

青ラインが、とてもワイドなQRS

赤ラインが、ST-T変化と考えました。

*aVRのSTが上昇しているような、してないような。。

 

死戦期の心電図様です。

ACSならば、LCXのVF後か、LMT病変クラッシュを考えます。

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クリックすると、心電図が拡大します

ERでの同位相6誘導心電図です。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

散歩をしていて倒れた患者さんです。当然、緊急PCIを考慮するのですが・・。

この時点で、付き添って来られた奥さんから、病歴の聞き取りができました。

 

「はい、10年ほど前に3回風船治療(PCI)をして頂きました。」

「一番大事な所が何時詰まってもおかしくないんですよ、との説明も担当医の先生からお聞きしました。」

「のんびりやっていきたい。なんかあっても延命処置はしてもらわない、と云ってたんです。」

と、静かに仰有います。

 

すでに、挿管下で心拍再開させております。

心エコーでは、LV diffuse severe hypokynesisでした。

奥様とのお話の上で、HCUでカテコラミンも使用せずに、看取りとなりました。

蘇生後、2時間後の心電図です。

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クリックすると、心電図が拡大します


 

 

洞結節で、不思議な安定を示しています。

電位は全体的に低く、V4-6で僅かにST低下を示します。収縮期血圧は、60mmHg程度です。

CAGは施行しておりません。LMT病変クラッシュだったのでしょう。若い医師・コメディカルの力でCPA症例を多数受け入れていると、こんな症例も経験するんです。