このER心電図は、けっこう危ないですね。
あっ、これaVRでST上昇ですね。下壁(RCA支配)のみST低下で、後はST上昇ですね。胸痛ありで、LMT病変しか考えられませんね。
と、瞬時に答えられた方は、心電図検定試験(ACS-LMT編)をクリアです、たぶん。
そうでない方も、ため息不要です(^_-)。
この見方が、一般的になりつつあるのは、この10年くらいです。心電図検定試験は、これを常識にするのに一役買っていると思います。
丁寧に読んでみます。
*洞調律です。(no arrhythmia)
*CRBBBベースですね。
*V1-4のST上昇あり。
*V5-6のT波も、何か変にボクは見えます。(R波と同じ高さです)
*II, III, aVFでST低下あり。(S波に続いてます)
でも、一番危ないのは
◎aVRでのST上昇です。危ない・アブナイ!
ACS-LMT病変では、LAD/LCXの二枝が重度虚血となります。残ったRCA誘導では、ミラーイメージとしてのST低下を示すことがあります。(必ずではない)
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(PCI後の確認造影)
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経時的心電図変化です。
逆の考え方もできます。
◎胸痛で来院。
◎心エコーで、広範囲の壁運動低下(severe hypokinesis)
◎これで心電図を見直して、aVRのST上昇に気付いたら、LMT-ACSと判定する。
不思議ですが、aVRに着目する習慣が付くと、すぐに分かるようになります。
aVRのST上昇無しのACS-LMT心電図問題は、反則ですよ(>_<)。