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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-344:Answer

 

このER心電図は、けっこう危ないですね。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

あっ、これaVRでST上昇ですね。下壁(RCA支配)のみST低下で、後はST上昇ですね。胸痛ありで、LMT病変しか考えられませんね。

 

と、瞬時に答えられた方は、心電図検定試験(ACS-LMT編)をクリアです、たぶん。

 

そうでない方も、ため息不要です(^_-)。

この見方が、一般的になりつつあるのは、この10年くらいです。心電図検定試験は、これを常識にするのに一役買っていると思います。

 

丁寧に読んでみます。

 

*洞調律です。(no arrhythmia)

CRBBBベースですね。

V1-4のST上昇あり。

V5-6のT波も、何か変にボクは見えます。(R波と同じ高さです)

II, III, aVFでST低下あり。(S波に続いてます) 

 

でも、一番危ないのは

 

aVRでのST上昇です。危ない・アブナイ!

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ACS-LMT病変では、LAD/LCXの二枝が重度虚血となります。残ったRCA誘導では、ミラーイメージとしてのST低下を示すことがあります。(必ずではない)

 

LMT-ACSを想定して、緊急PCIを施行しました。

 

(PCI前のLCAコントロール造影)

[http://:title]

 

 

(PCI後の確認造影)

[http://:title]

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経時的心電図変化です。

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逆の考え方もできます。

 

◎胸痛で来院。

◎心エコーで、広範囲の壁運動低下(severe hypokinesis)

◎これで心電図を見直して、aVRのST上昇に気付いたら、LMT-ACSと判定する。

 

不思議ですが、aVRに着目する習慣が付くと、すぐに分かるようになります。

 

aVRのST上昇無しのACS-LMT心電図問題は、反則ですよ(>_<)。