さらに回旋枝 LCX-ACSを、解説します。
from ECG-304の解説
*複雑な心電図変化です。
*LMT病変を疑いたくなりますが、aVRのST上昇はありません。もう少し考えましょう。
*いろいろST変化がある場合は、ST上昇部分が主病変です。
*V5,6・aVLとI 誘導でのST上昇あり。回旋枝 LCX-ACSとして緊急カテの準備に入りました。
*しかし、V1,2,3でのST低下はともかく、II, III, aVFでもST低下があり、説明に困りました。
→では、説明をご用意ください。 (30秒・考えタイム!)
出来ましたか? では、緊急カテの結果をどうぞ。
なんと、三枝病変でした!
心電図から主病変を推定してないと、RCA-ACSか、LCX-ACSか悩んでしまうところでした。
RCA-#2で完全閉塞。
LAD-#6は有意狭窄です。
よって、主病変以外の誘導で虚血発生=ST低下が生じていたんですね。LADの血流は保たれているので、aVRでのST上昇は生じなかったようです。
*LCX #12へのPCIが施行されました。
心電図検定試験には、やや不適な気がしますが、
【 ACSではST上昇の誘導部分が主病変である 】
は、理解しておきましょう。
もう一つ気になるのは、
*V1-4でのST低下なのに、V5,6でST上昇となっている点です。三枝病変(TVD)な点もあるんですが、
【 ミラーイメージは、解剖学的対側に限らない 】
と云う事実があります。知ってた方がいいです。
(TVD : tripple vessel disease)
from ECG Case-066 (from LIFE IN THE FASTLANEより)
=高齢者で胸痛と冷汗を主訴で来院’=
*▼V1-4でのST低下でST低下です。後壁のミラーイメージを考えます。
*▲V5,6とI 誘導でのST上昇 → 側壁のACS。
*さらに、aVL 誘導□にてSTが低下していない。回旋枝の病変を示唆します。
*下壁の誘導でのST上昇は、II > aVF > III 誘導と、回旋枝に近いほど大きい。これも、大きめの回旋枝病変を意味します。伝導障害がないのも、参考所見です。
なお、実臨床の場では心エコーでの壁運動障害の分布も重要な所見です。さらに、右室梗塞の有無評価です。(心電図検定試験から、どんどん離れますが)
Jasmineさんのブログで打ち合わせしたかの如く、同様な・しかしRCA ACSの典型例の提出されていました。学びが大きいです。ご参照くださいね。
RCA-ACSで、後壁梗塞を合併した症例です。LCX-ACSと異なるのは、
◎ 伝導障害がある。
◎ 下壁の誘導でのST上昇は、II < aVF < III 誘導と逆に高い。
◎ aVLのST低下がある。
などの点です。
次回が、回旋枝シリーズ最後の解説です。
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医事新報社からです。
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