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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-147:変なCRBBB-あしたのために HCM編 その3】

Question:50才代男性です。次の心電図診断をお願いします。

 

心房細動がある前提ですけど…

 

クリックすると、心電図が拡大します。

 

1.  陳旧性前壁中隔梗塞 with CRBBB

2.  なんらかの右室肥大(ex.肺高血圧症)

3.  シンプルなCRBBB

4.  肥大型心筋症 with CRBBB

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       (考え中)

 

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正解は、( 肥大型心筋症 with CRBBB)でした。

 

 

訳分かんない(・_・?) (・_・?)

もう、思考が働かない💦上級医か循環器医に助けて貰おう😖

 

正常な反応ですよ。

ヤバイと思えれば、ERは凌げますし。

 

この心電図の目眩ましは、完全右脚ブロック(CRBBB)です。

CRBBBの心電図所見を理解して、その上にACSの心電図が載っかっていると考えると、ガッテンできます。

 

変なCRBBBシリーズです。

Arai Riku先生のYouTubeでは、

 

www.youtube.com

 

QRS幅が0.12秒(3mm)以上でVTでない場合に、

*V1でマクドナルド(M)型は、CRBBB

*V6でマクドナルド(M)型は、CLBBB

と、まず覚えちゃいますよね。

 

これは入門編としては、OKだと思います。

ですが、形態認識だけで覚えると、すぐにつまづきますpastedGraphic.png

 

 

右脚が電気的に切断されると、右室心筋は=左室より=ゆっくりと伝播で興奮していきます。

 

V1のwide QRSが一峰性か、二峰性かは、CRBBBの本質ではありません。右室内を=刺激伝導系ではなく=心筋によるゆっくりとした伝導が起きているのが、病態(電気)生理です。

 

クリックすると、心電図が拡大します。

設問を、もう一度見てみましょう。

V2では、全部RsR'波形=M型ですね。

左室の興奮→右室の興奮と、時相がズレているのが分かります。(V2で、全てが解明される訳でもアリマセン)

そして、V1では(遅れた右室の興奮波形)であるR'が一番高くなります。

一峰性でも、R’にあたる部分(後半成分)が一番高い。

 

このR'の頂点から垂線をV6へ下ろすと、幅広いS波となります。この高く幅広いR'(at V1)は、幅広いS波(at V6)になるんですね。

クリックすると、心電図が拡大します。

CRBBBでは、V1,2にRsR’(RR’もR波形もある)が出来るのは、左室→右室と、別々に心筋が興奮するからなんです。

 

さらに胸部誘導を見てみます。

*青のラインで分かるかと思いますが、V4-6のR波は左室の興奮です。左脚自体の異常はないので、コレが左室の興奮です。

*V1のQRのR波は遅れて出現しており、右室の興奮です。

*V1,2のQ波は、左室のベクトルが後方回転したためです。

*V3-6の(変な形の)ST-T変化は、HCMでよく見るパターンです。

*V1でのST-T変化はT波がflatなことくらいですね。これは、V4-6でのST低下のmirror image的変化と思われます。少なくとも、右室肥大では説明し難い。

*CRBBBがHCMの心電図波形に乗っかっていると考えると、分かりやすいでしょうpastedGraphic.png

 

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