3病日目の朝まで、胸痛は続きます。
アセリオ(アセトアミノフェン注)・ペンタゾシン注も一時的効果しかありません。
血圧が低下し、呼吸が出現し、頻脈が続きます。
HCUですぐに、心電図と再度の心エコーです。
*初日とあまり変化有りません。
*V1-3で r波が無くなりました。V1でST低下あります。
*ACSもやっぱり気になります。
もう一回心エコーです。
(2病日と3病日の左室長軸像)
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(2病日と3病日の左室短軸像)
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ショック状態に進行しており、まず心のう液のドレナージを行いました。穿刺液は、黄色透明で、血性でも膿状でもありません。
心エコーの所見を振り返ります。
*心のう液の貯留量は増えています。
*もともと左室の収縮性は低下しています。
*いわゆる、下後壁の壁運動が著明に低下です。
*心のう液貯留のため、swinging-heartで動きは一見よく見えます。
*心タンポナーデで凹むのは右室です。(左室が凹む前に、ショックとなります)
*でも、気付くべき所見は心筋の膨化(浮腫性変化)です。浮腫状に見える。
心筋炎で心外膜に炎症が及ばないのはないし、心外膜炎でも外膜側心筋に炎症が及ぶ。心電図で、この鑑別はできません。(VT出まくれば、心筋炎の存在を疑いますけど)
しかし、こんなに早く悪化するとは。
心のう液穿刺で一旦血圧上昇するも、突然の心停止です。
*ICUでの蘇生→PCPS挿入→CAG intact→IABP導入。
*人工呼吸器管理、血漿交換etc.
*オノアクト・hANPの助けも借りました。
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(心筋酵素系の経時的変動です。)
大変でしたが、見事にADL自立・精神障害なしで、独歩退院となりました。パチパチ(私の仕事ではないんですけど、皆頑張りました。もちろん、患者さんも。)
もうちょっと、評価しました。
(IVC径の経時変化です)
最後に、発症時と、15カ月後の心エコーを対比します。
(急性期と15ヶ月後)
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ST上昇は心膜の炎症のみに由来するとは限らない。心外膜直下の心筋炎症も多少はあるだろう。急性心膜炎の実態は心筋心膜炎だと教わった。
p-195:循環器治療薬ファイル(第3版) @村川裕二先生
心筋炎(+心外膜炎)の劇症タイプでした。
教訓。。
【12誘導心電図で、心外膜炎を診断して安心しない。勝負はそこからです】
今回は、共同著者の佐々木達哉先生に、この症例へのメッセージを頂きました。いつも、いろんな事を教わっています。(大阪におけるうどんの立ち位置までご教授されました)
では、佐々木先生宜しくお願いします。