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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【ECG-399】answer

60才代男性の昨日から続く胸部不快感でのER受診でした.

 

ER心電図を解析しましょう。

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

*洞調律か??(P波があるような、ないような。。)

*下壁誘導で、異常Q波とST上昇あり。

  → III-ST上昇 > II-ST上昇

*aVLでのST低下(ACS-下壁のミラーイメージ)

  →これは、RCAでもLCX(遠位側)でも発生有り得る。

V1のSTが何となくST上昇してる。。

  →これは、右室梗塞の可能性を示唆する。

*僅かだが、右側胸部誘導でST上昇を認める。

*V6でのST上昇はない。

 

これらを全て説明するには、

右冠動脈 近位部閉塞でないと、ムリがあります!

 

RCA-distal閉塞では、V1-3にミラーイメージのST低下が生じやすい。

△回旋枝の遠位部閉塞で、下壁誘導のST上昇とaVLでのST低下は説明できるが、

III-ST上昇 > II-ST上昇

V1のSTが何となくST上昇

【LCX病変での、徐脈・房室ブロックは極めて少ない】

の点が、合わない。

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▲Wrraped-LAD遠位部閉塞では、

【心尖部心室瘤で、V3-6のST-T変化・異常Q波があるはず】

 

実際のCAGです。RCA起始部の完全閉塞でした。

あらゆる処置を試みるも(ballooning,血栓吸引,stent留置)、再疎通出来ませんでした。

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クリックすると拡大します

 

 

 

左冠動脈を見てみましょう。

さほど大きくはありませんが、LCXはしっかりとあります。

V5,6を支配しているようです。

 

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シンプルな RCA proximal obstruction with RV infarctionの症例でした。

なお、この症例はPCI後は cardiac standstill となって、一時期all VVI pacingとなっておりました。ACSでの刺激伝導系障害は、殆どの例で数日後に治ります。刺激伝導系は、虚血発作にかなり強いんですね。作業心筋と異なり、伝導のみなのでATP消費も少ないようです。また、血行二重支配も多いんです。

 

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日本医事新報社からです。重版されました。

循環器版の(思考のレッスン)です。

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まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。

 

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