30代男性で未治療の高血圧と喫煙習慣のある患者さんが、ER搬入で心電図を記録しました。
まず#心電図検定試験的に判読します。
*調律は心房細動
*ST上昇は、V6 と(たぶん)I誘導。
*II,III,aVFに異常Q波。
*高電位(胸部誘導)
◎aVLでのST低下(ミラーイメージ)がない。
◎V1-3でのST低下(ミラーイメージ)がない。
答えは、ACS LCx領域でした。
これを、CAG所見に合わせて考えていきましょう。
実は、病歴に大きなヒントがあります。
*未治療の高血圧
*30才代であること。
*喫煙者であること。
*心電図に高電位があること。
そうです。この患者さんは(未治療の)抗アルドステロン血症による高血圧・左室肥大でした。
医療からは離れて働いてのでした。
つまり、この年齢でも陳旧性心筋梗塞を合併してた可能性があります。
Riku先生のマイスターチャンネルより。
では、このRiku’s methodを元に、心電図解析です。
発症前→発症時(at ER)→発症8日目の心電図比較です。
発症前心電図
*洞調律
*高電位&strain patternで、左室肥大あり。
*下壁誘導に、すでに異常Q波あり。
発症時
★V6のST上昇と、(それによる)strain patternの消失。
★I誘導でのstrain patternが、わずかなST上昇になる。
◎V6のST上昇がほぼ無くなり、冠性T波が残る。
発症後8日目
◎左室側壁の高電位の消失。
◎I誘導は、発症時との著変なし。
◎下壁誘導に変化無し。
よく見かけるACSの障害部位と心電図変化の対応図です。
この図の理解で大切なのは、(対応性はボチボチ)と受け取ることです。杓子定規に当てはめない。冠動脈の走行は、個体差が大きい。
では、冠動脈造影です。
左冠動脈より
これを見て、なんかおかしい!?!と思えたら、その直感は正しい。
心電図変化と対応して病変部位を指摘できたら、初期研修医(循環器編)として合格です。出来なかったら・・・💦
黄色いサークル部分に血管がありませんよね。この欠落(喪失感)を、理解しましょう。
LAO viewで、回旋枝(LCx)を見ると、完全閉塞の血管断端が見えます。
(LCA-RAO)
[http://:title]
回旋枝の閉塞断端が認められます。#12です。
RCAは、#3遠位端で閉塞が認められ、陳旧性梗塞と判定しています。
[http://(LCA-LAO) :title]
[http://(RCA-LAO) :title]
一見、何もないところに閉塞部位を見つけ、wireを入れる技は今回は省略です。
先端造影をして、確認後にBallooningです。LCxへのPCI後の確認造影まで示します。
(LCA-LAO)
[http://:title]
(LCA-RAO)
[http://:title]
(LCA-CAU)
[http://:title]
今回は、
器質的心疾患を待つ患者さんの多枝病変では、どのような心電図変化を示すのか?回旋枝編でした。
マイスターチャンネルに、多枝病変例が沢山ありますので、ご覧下さいませ(^_^)。
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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されております。
日本医事新報社からです。重版されました。
循環器版の(思考のレッスン)です。
村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。
まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。
心電図ファンの方々に、支持頂いております(^_-)。
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