心電図で、どっちの病変かを見分けるのは、余興のようなものです、と以前述べました。強いて云えば、RCA病変は、伝導障害を伴いやすいです。右室梗塞がらみならば、RCA病変でしょう。
我々は、緊急の冠動脈造影で、決着をつけます。
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では、心エコーと心電図で、ERレベルでの下後壁急性心筋梗塞の診断確定は、どこまで可能でしょうか?(心筋酵素のCPK,MB,トロポニン群の結果を待たずに、と云う状況設定です)
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胸痛で来院と云う前提ならば、かなりの程度可能なはずです。Over-diagnosisも、十分に許されるsettingです。特に,典型的心電図・心エコー所見ならば、瞬時に診断確定です。
でも、real-worldでは、そんなにうまく事は運ばない。そんな症例群を、前回まで並べてみました。
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1回目は、ERでの下後壁の心エコー図の判読方法です。
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◎ 正常心筋は収縮期に厚くなります。(Systolic thickningと呼ぶ)
◎ この所見が、しっかりしていれば、下後壁の虚血発作は否定的です。
◎ 収縮期の左室の求心性の壁運動は、下後壁 > 心室中隔となります。
◎ 心室中隔の収縮期の動きがダイナミックな場合は、下後壁の壁運動低下に対する代償性過剰運動=下後壁の虚血性ダメージと読み取る場合があります。
◎ 左室短軸では、下後壁主体か、側壁まで壁運動障害が及ぶかを、checkします。
◎ 右室梗塞=異様な右室のballooningの有無も、見ておきましょう。
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正常な左室(下後壁)の壁運動図です。
{LV long-axis : B & M mode}
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クリックすると、ECGが拡大します。
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B&Mのmovieです。
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