心電計による自動診断機能は、昭和の頃からありました。まだ未熟でしたが、技術者達は、30年以上前から試行錯誤していたのです。
現在販売されている心電計(新品)ならば=一流メーカーで=上記は、間違いなく「 ACSだよ!! すぐ対応してね!! 」とアラームを鳴らします。
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今回は、診療所の持つ旧い心電計のお話しです。心電計は、壊れるまでしっかりと動きます。20年近く頑張っている機器も少ない無いはずです。診断プログラムも、一昔前のものです。
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心電計の自動診断は、頼りがいあります。あなたが、当直明けでボーとしている時に、「 違いますよ、前壁中隔梗塞じゃなくて、CLBBBですよ。 」とか、助言してくれます。よい相談役です。
でも、過信しないで下さい。この心電図を見て、なんかヤバいんじゃないかと思った診療所医師の直感は、正しかったのです。
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II, III, aVF のST上昇と、aVL のST低下です。ACS確定です。おそらくRCAの病変です。LCX病変では、V5,6でST低下は示さないでしょう。
もうひとつの解釈は、胸部誘導のST低下は、LMT病変の可能性を残します。胸部誘導でのV2-6でST低下は、ミラーイメージでは説明しにくいかもしれません。
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なお、心電計はSVPCと判定していますが、どうみてもPVCですね。ACS状態でのPVCは、いつVT/Vfに移行し得るリスキーなものです。
慌てたら、見逃しかねない I , aVL のST低下のみ指摘しているのも、不思議です。
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この方は、遠方の診療所だったために、他院での加療となったようです。
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