(短時間で著明なST-T変化を示したRCA-ACS:new)
II, III, aVFでの著明なST上昇と他の誘導でのST低下を示したACSでした。
ACSは、ST上昇部分が主病変を示します。(LMTは別です)
右側胸部誘導では、右室梗塞を示すST上昇があります。よって、RCAしか主病変は考えられません。
これくらい分かりやすいと、判断は間違いませんね。
ちなみに、
15分前は、軽度の変化のみでした。
#2の病変は、血栓が新たに出来たり(=閉塞)、流れ去ったりと、完全閉塞・不完全閉塞をくり返したようです。(救急車内でも、モニター心電図でSTが上がったり、戻ったりしていました)
短時間でこんなに心電図変化する事も有り、10分毎の12誘導心電図記録は、悩んだ時に有用です。
(P波が見えない徐脈のRCA-ACS :from ECG-260)
II, III, aVFのST上昇と、ミラーイメージとしてのaVLのST低下があります。下壁梗塞です。
徐脈でP波がありません。RCA-ACSで考えるのが妥当です。
(回旋枝が房室結節を潅流することは稀です。洞結節は、RCA/LCXの両方から潅流させることが多く、洞停止発生は少ないとなっていますが、例外はけっこうあります。)
伝導障害込みの下壁梗塞は、RCA-ACSと考えて良い。少なくとも、心電図検定レベルでは。
RCA起始部での完全閉塞でした。
右胸部誘導(特にV4Rでの1.0mm以上のST上昇)は、有意の右室梗塞とされます。但し、この陽性になる期間は発症後半日くらいと短いことが多い。
心電図検定試験的には、
*II, III, aVFのST上昇と、aVLのST低下(ミラーイメージ)
*V4RでのST上昇(1.0mm = 0.1mV)
の二つがあれば、RCA-ACSであり、(not LCX-ACS)と確定できます。それ以外で確定的鑑別をするのは、私は無理筋だと思います。
answerその3に続く。
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