70才代の男性が、時々起きる胸苦しさ、ふらつきで夜のERを受診です。ご丁寧に、サッカー終了後でした。
単なる単発のPVCのみであれば、翌日の内科(循環器)外来もありです。
但し、以下の条件があります。
【 器質的心疾患の存在が除外され、かつ自覚症状がなければ、他に心電図上の異常所見を認めない単発のPVCは、深追いする必要はない。 】
とても覚えられないですね。
PVC以外、何もなければ、そっとしておこう、と理解して下さい。
この研修医くんの場合、単発のPVC=放置!と勘違いしております。
心電図を、きちんと判読してみます。
- ◎ V1-5がQS patternである。(V1は、QS pattern + small r wave)
- ◎ II, III, aVF,V6にも異常Q波あり。
- ◎ ST上昇が、広範囲に認められる。
どうみても広範囲前壁梗塞であり、心室瘤もありそうです。(心臓発作での入院)歴は、ACSだったはずです。
陳旧性心筋梗塞で発生しているPVCです。只者ではない。
ありがちな右室流出路起源のPVC(II, III, aVFでtall-Rを示すPVC)じゃない。R on Tじゃないけれど。
しかも、胸部不快感・めまいがある。このままお帰り頂くのは、ものすごく心配なので、モニター監視を開始しつつ、入院の説得は開始しようとしました。
「あっ、また胸が変な感じになりました。」
モニター心電図を見て、大慌てで12誘導心電図記の録となりました。
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VTでした。それから、いろいろ大変でした。
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陳旧性心筋梗塞によるVTは、広範囲な心筋障害を有する例で発生しやすいんです。この症例の心エコーでは、巨大な心室瘤を形成しており、心筋の菲薄化も進んでいました。Ischemic-DCMで、remodelingが進んでおります。
今回の教訓です。
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【 基礎心疾患を持つ患者のPVCを、軽くみちゃだめ! 】
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【 PVCだけに捕らわれずに、基礎の12誘導をしっかりと吟味する 】
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いつものお話しですが、
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【 OMIのwide-QRS-tachy.は、VTとして対応する! 】
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【 wide-QRS-tachy.は、VTでないと分かるまでVTとして扱う! 】
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