今回は、まずanswerを提示します。
* ERの心電図判読
洞調律なれどP波二種類あり。
心房細動ではない。
*別の日の心電図波形を推定
きっと心房細動波形のはず。
重度のMR由来でなければ、心房細動による左房拡大。
(ERでの心電図)解説
慢性の心房細動では、律動的心房収縮が無いため、次第に心房が拡大してきます。心房細動が起きる状況では、心房の線維化も進んでいることが多いのです。
年に数回しか起きない発作性心房細動(PAF)では、心房の拡大が起きる事は、まずありまえん。
ところが、基本的に心房細動なのに、時々思い出したように洞調律に戻る患者さんって、けっこう存在するんです。
この患者さんは、ER搬入時にたまたま洞調律になっていました。
心電図モニターすると、翌日から心房細動になっていました。
また、病歴を詳細に確認すると、麻痺レベルは軽度ですが脳塞栓症の既往があったようです。(抗凝固療法は、何故かありませんでした)
【説明出来ない心房拡大は、心房細動が隠れているカモ】
慢性心房細動で、心房が著明に大きくなっている別の症例(心エコー)を提示します。
慢性心房細動でここまで心房が拡大してからでは、カテーテルアブレーションでの治癒も見込めません。どの段階で洞調律を目指すかも、現代的課題です。