超高齢ながら、療養病棟で静かに過ごされていました。
認知症もあり、症状の訴えを上手く出来なかったのか、半日ほど経過してのER搬入でした。
喘鳴があり、身のやり場がない感じです。至急でいくつかの検査がなされました。
循環器科の医師達は、今緊急心カテで忙殺されています。
超高齢・CKDあり・認知症ありで、intervensionの適応からは外れています。
そこで、循環器科大好きの後期研修医(B君)のあなたが呼ばれました。
初期研修医-Aさん
あっ、B先生来てくれたんですね、よかった~。
どうも、ACSっぽいですよ。
血液検査結果がこうなんです。
後期研修医-B君
CPK値上昇し、GOT>>>GPTで、トロポニン-I(TnI)の著増。ACS以外は考えるのが難しいね。
でも、いきなり生化学dataで診断かい?
初期研修医-Aさん
B先生が来るのに20分かかったので、いろいろ検査結果出たんですよ。
後期研修医-B君
お前行ってくれって、カテ室から引っぺがされて来たんだよ。褒めてよ。。
初期研修医-Aさん
最初に心エコー見たんですけど、左室はdiffuse hypoなんです。ちょっと変な壁運動でした。入室10分後に記録した心電図です。
後期研修医-B君
CLBBB(完全左脚ブロック)だね。壁運動の変な感じは、そのためかもしれない。
初期研修医-Aさん
CLBBB時のACS心電図診断は・・・・出来ましたっけ?
後期研修医-B君
{iPADを取り出しつつ}Sgarbossaの診断基準というのがあるんだ。たしか、Jasmineさんのwebsiteによいまとめが、、ほら。
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左脚ブロックではST部分がQRS波と反対側に推移するため、正常と異なる再分極異常を伴います。
そのため急性心筋梗塞、心筋虚血の判断が難しく、さまざまな診断基準が提唱されています。
その中の一つとして、1996年にSgarbossaが診断基準を提唱しています。
①QRS成分と極性が一致した1mm以上のST部分の上昇
②V1V2またはV3誘導における1mm以上のST部分の低下
③QRS成分と極性が不一致の5mm以上のST部分の上昇
100%の正確性はありませんが、確認すべきポイントです。
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http://shindenzunoheya.blog.jp/archives/18496348.html
看護師ももの氏の 心電図の部屋 より
初期研修医-Aさん
前医の発症前心電図もあるんですよ。紹介状に付いてました。
後期研修医-B君
よし、両方を比較すれば、何か分かりそうだ。
見てみよう!
(1ヶ月前の安定期12誘導心電図:前医より)
(ER搬入時の心電図)
初期研修医-Aさん
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
後期研修医-B君
汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗汗.汗.汗.汗。
[よく、分かんないよ(・_・?)]
【Question】
* 心電図を判断してみて下さい。
*ACSの確定診断に寄与する追加検査があるでしょうか?
(心カテは、適応外とします)
注:story化しております。
ERで、こんな漫才は実際には行われておりませんので、念のため。