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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-322:90才代男性。急激に進行した呼吸苦です。

 超高齢ながら、療養病棟で静かに過ごされていました。

 認知症もあり、症状の訴えを上手く出来なかったのか、半日ほど経過してのER搬入でした。

 喘鳴があり、身のやり場がない感じです。至急でいくつかの検査がなされました。

 循環器科の医師達は、今緊急心カテで忙殺されています。

 超高齢・CKDあり・認知症ありで、intervensionの適応からは外れています。

 

 そこで、循環器科大好きの後期研修医(B君)のあなたが呼ばれました。

 

初期研修医-Aさん

  あっ、B先生来てくれたんですね、よかった~。

  どうも、ACSっぽいですよ。

  血液検査結果がこうなんです。

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クリックすると、拡大します

 

後期研修医-B君

 CPK値上昇し、GOT>>>GPTで、トロポニン-I(TnI)の著増。ACS以外は考えるのが難しいね。

 でも、いきなり生化学dataで診断かい?

 

 

初期研修医-Aさん

  B先生が来るのに20分かかったので、いろいろ検査結果出たんですよ。

  

後期研修医-B君

 お前行ってくれって、カテ室から引っぺがされて来たんだよ。褒めてよ。。

  

初期研修医-Aさん

 最初に心エコー見たんですけど、左室はdiffuse hypoなんです。ちょっと変な壁運動でした。入室10分後に記録した心電図です。

 

後期研修医-B君

 CLBBB(完全左脚ブロック)だね。壁運動の変な感じは、そのためかもしれない。

  

初期研修医-Aさん

 CLBBB時のACS心電図診断は・・・・出来ましたっけ?

  

後期研修医-B君

 {iPADを取り出しつつ}Sgarbossaの診断基準というのがあるんだ。たしか、Jasmineさんのwebsiteによいまとめが、、ほら。

 

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左脚ブロックではST部分がQRS波と反対側に推移するため、正常と異なる再分極異常を伴います。

そのため急性心筋梗塞、心筋虚血の判断が難しく、さまざまな診断基準が提唱されています。

その中の一つとして、1996年にSgarbossaが診断基準を提唱しています。

①QRS成分と極性が一致した1mm以上のST部分の上昇

②V1V2またはV3誘導における1mm以上のST部分の低下

③QRS成分と極性が不一致の5mm以上のST部分の上昇

100%の正確性はありませんが、確認すべきポイントです。

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http://shindenzunoheya.blog.jp/archives/18496348.html 

看護師ももの氏の 心電図の部屋 より

 

初期研修医-Aさん

 前医の発症前心電図もあるんですよ。紹介状に付いてました。

 

後期研修医-B君

 よし、両方を比較すれば、何か分かりそうだ。

 見てみよう!

 

 

(1ヶ月前の安定期12誘導心電図:前医より) 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

(ER搬入時の心電図) 

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クリックすると、心電図が拡大します

初期研修医-Aさん

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

後期研修医-B君

  汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗.汗汗.汗.汗.汗。

[よく、分かんないよ(・_・?)]

 

 

【Question】

* 心電図を判断してみて下さい。

ACSの確定診断に寄与する追加検査があるでしょうか?

   (心カテは、適応外とします)

 

 

注:story化しております。

  ERで、こんな漫才は実際には行われておりませんので、念のため。

 

 

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