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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

ECG-321:answer(2/2)

PCI前のコントロール造影です。動画で確認しましょう。

 

(LCA-CAG : control) 

 

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LCAです。

LAD(前下行枝)は、#6,#7に強度の狭窄を認めます。

LADは造影遅延を認め、99%狭窄となります。

LCX(#13)にも狭窄高度です。ちょっと遅延ありか。

 

 

(RCA-CAG : control) 

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RCAとLCXの両方が完全閉塞だと、責任病変がどちらか、かなり悩みますが、今回は#1の完全閉塞です。

 

 また、以下の法則を再確認しましょう。 

 

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クリックすると、拡大します

 

 

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RCA #1 の完全閉塞であり、上記の心電図変化の変化より、責任病変はRCAです。

 

 

 

ACS-PCI:責任病変から治療する】

 

ACSでは、まず責任病変の血流再開を優先します。

RCA #1へのPCIを行いました。 

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(RCA-PCI後の造影:動画)

 

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ACS-PCILCAへのPCIは、緊急か待期的か】

RCAへのPCIが成功した後、血行動態は安定しており、IABP/BiPAP等は必要ありませんでした。

LCX,LADへのPCIは、後日施行されています。

 

A.) 心不全不整脈がコントロールが難しい場合には、循環補助しつつ、PCIを一期的に行う。

 

B.) 待期的にLCAへのPCIを行う。この際、血行動態破綻リスクを最小限に進めるために、LCXより開始しました。LCXへのPCI成功後、LAD(#6,#7)へのPCIを引き続き施行しています。 

 

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もし、LAD病変が#6(just proximal)ならば、戦略は変わっていました。他を犠牲にしても、LADはrescueされねばなりません。

大雑把に云うと、LAD支配領域=(RCA)+(LCX)の支配領域ぐらいの差があります。

 

心電図の経時的変化です。

 

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クリックすると、心電図が拡大します

 

 

 

X+10daysでは、

* II誘導のR波が減高

*III,aVFで、QS波と陰性T波出現

*胸部誘導(V2-5)の陽性T波出現(後壁の虚血:ミラーイメージ)

を認めます。

 

心エコーでの壁運動障害は、RCA-PCI後(& LCA-PCI前)の状況で、下後壁のmoderate-hypokinesisを認めるのみでした。この患者さんが持っていた幸運なのでしょう。

 

ACS急性期心電図が、重症度を表さない事もある】