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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-116:ペースメーカーの物理】

 

 

http://www.howtopace.comi 

 

 

4.0 International licenseに従って、上記websiteの翻訳・解説を致します。意訳となりますので、きちんと学びたい方は、原典に当たって下さいね。

 

物理学的・工学的・ものつくり的なことが好きな方には、素敵なwebsiteです。お付き合い下さいまし。

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【 電気と電子の流れの違い 】

 

ペースメーカは、リチウム電池です。

 

乾電池は、1本1.5Vです。2本で3.0V.

通常の永久ペースメーカーの刺激電位は、2.50V程度です。

 

電気の流れは、陽極→陰極です。

 

でも電子の流れは、陰極→陽極です・・・は何時習ったのかな?

 

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【 双極と単極リードでの、電子の流れの違い】

 

*双極(Bipolar)リードでは、電極の先端部分で電子が流れます。

 

*単極(Unipolar)リードでは、電極先端が陰極で、ペースメーカー本体が陽極です。

         この間で電子が流れます。

 

ペースメーカーでは、電子の流れで考えます。

 

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【 リードチップの構造と刺激域値】

 

リード先端から高密度の電子が放出されることで、心筋刺激が成立します。

 

*リード先端電極を細くすることで抵抗値が増加。

*電子の流れは減る(でも、狭い範囲での電子密度は高い)

*高抵抗によりバッテリー寿命が延びました。

 

昭和は5.0V刺激でしたが、平成後半以後は2.5V刺激以下が主流です。

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【 リードチップの電極と刺激効率】

 

電子の流れは、心筋と接しているリード先端が陰極(=電子の放出)のほうが、エネルギー効率が良くなります。

 

そう覚えて下さい。

 

詳しくは、原著に当たってね。(深入りするときは、物理に詳しい方を味方にしておいて下さい)

 

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【 電極面積とペーシング・センシング】

 

リード先端の電極面積が狭い→電子密度が高まる(=抵抗値が上がり)。

電流が減少し電池寿命が延びます。

 

電子の濃度が高い小さなチップは分極現象を引き起こす。

リードチップ表面を多孔性(porus)にして、回避します。

 

(ココ、分かりにくいですよね。)

 

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【 タインドリード と スクリューインリード 】

 

タインドリード:リード先端がデコボコ(porus)の陰極リード。

 

スクリューインリード:コクル抜キのように心筋にねじ込む陰極リード

 

(他にもありますが、主たるリードです。)

(呼び名は、会社によって微妙です。)

 

*Tinesは、碇みたいなもの。適切な和訳は???

 

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センシング閾値は,電極面積が大きい程有利である.しかし,電極面積が大きいほ ど,ペーシング抵抗値が低下し,消費電流が大きくなり,電池寿命が短くなる.電極の表面に micro- pore を多数設けた構造にすることにより,センシング時の電極面積を大きく,ペーシング時の電極 面積を小さくすることができる. 

 

 

心筋の捕捉には、接点で局所電流密度を高くする必要があり、電流密度を高めるために、リード先端電極をできるだけ小さくして抵抗も増加させました。電流の流れが減少したため、高抵抗によりバッテリーの寿命が長くなりました。 したがって、小さなチップを使用することにより、低い電流フローで高い局所電流密度が達成されました

 

しかし、電子の濃度が高い小さなチップは分極現象を引き起こし、それを打ち消すために、幾何学的サイズを増加させることなくリードチップの微視的接触面積を増加させる多孔性/織り材料を使用してチップ表面を粗くしました。 これにもかかわらず、いくつかの分極が発生し、ペースメーカー回路で検知された場合にペーシングの阻害につながる可能性がある初期インパルスの直後に後電位をもたらします。 ペーシング後のブランキングイベント(心室ブランクおよび心房ブランク期間)は、これらの後電位の検出を防ぎます。

 

単極システムでは、アノードはペースメーカーキャニスター(can)であり、ペースメーカーポケット床で大胸筋と接触しています。 筋肉の捕獲を防ぐには、電流密度を低くする必要があるため、ペースメーカーキャニスターが陽極であったため、陽極は大きな表面積を持つ必要がありました。 双極システムでは、リング電極は陽極として機能し、筋肉の捕獲には問題がないため、リング電極は小さな幾何学的表面を持っています。 (ただし、以下の陽極刺激を参照してください)。 表面が大きいにもかかわらず、特に高出力が使用されている場合、電流密度が大胸筋の捕捉閾値を超えて増加し、単極ペーシング中にポケットの収縮を引き起こすことがあります。

 

 

 

 

ペースメーカは、リチウム電池です。

 

 

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佐々木達哉先生との共著が、2020/1/23に発刊されました。

日本医事新報社からです。重版されました。

循環器版の(思考のレッスン)です。

村川裕二先生から、素敵な(推薦の辞)を頂きました。

まずは、立ち読みして下さい。私が援護射撃した佐々木ワールドが満開です。

 

https://www.amazon.co.jp/レジデントのための循環器教室%E3%80%88症例で学ぶ循環器診療のリアル〉-佐々木-達哉/dp/4784948759/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=佐々木達哉&qid=1577794530&sr=8-1

 

 

 

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【(上級医がやっている)危ない心電図の見分け方】 医事新報社

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