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Cardio2012のECGブログ-2019改

=上級医がやっている危ない心電図の見分け方= ECGにまつわる基本的な諸問題:総合診療部研修医と、ECG苦手医師のためのサイトです。

【コラム-119】サーベイ2021へのオマージュ(ECG-3):右胸心で心電図を考えます。

右胸心は、先天性心疾患の登竜門かもしれません。

出会うときは、すでに診断が付いてますね。

でも、臨床的問題がなく(=鏡像型右胸心:dextrocardia)、患者さんも聞いて初めて「そういえば、心臓が右にあるって、前言われたんですよ。」なんて、答えたりします。早く言ってよ~。。

 

https://www.mochida.co.jp/dis/guidance/electrocardiogram/a18.html

 

シンプルに、心臓も他の内臓も左右逆に(鏡面像として)存在する場合を考えます。

 

 

ECG-03 (ブログ:ECG-360,120より)

heart2019ecg.hatenablog.com

 

 

heart2019ecg.hatenablog.com

 

 

*心電図の問題となるのは、心合併症がない症例(鏡像型右胸心の95%くらい)だと思います。合併心奇形があると、話は複雑ですから。

 

 

Case-A

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*左右の上肢の付け間違いと同じになります。

(→I 誘導で陰性P波とQr波形。)

(→aVR 誘導で陽性P波とRs波形。)

誘導の付け間違いは、トラップです。

 

選択枝を選ぶときは、胸部誘導まで、ちゃんと見ましょう。

(→V1からV6になるほど、波高が低くなります。)

(→右側胸部誘導を記録している感じですね。)

後壁梗塞もトラップです。

 

 

 

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胸部誘導が心臓より離れて行くのが、分かると思います。 

 

左右の上肢誘導を逆にして、胸部誘導を右側に並べ直すと、普通の波形に戻ります。

 

 

 

 

Case-B 

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別の右胸心症例です。

*case-Aとそっくりですね。

*胃泡が右側にあります。内臓逆位も有るんですね。

 

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上肢の誘導を逆にして、右側胸部誘導に張り直すと、普通の心電図に戻りました!

 

 

 

 

Case-C

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CRBBBを伴ったの右胸心症例です。I 誘導がRS patternになるくらいは、良くある事です。すぐにピンと来ないかもしれませんね💦

 

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心臓が右胸郭に行ってしまったのですが、最後は(右胸郭にある)右室が興奮します。V5,6では、最後に右室の興奮を反映して、R’でQRSは終わります(^_-)。

V1-6まで、似たような波形ですね。rsR’パターンが基本ですが、V6qRに見えます。さらに波高がどんどん低くなる。。

 

*I誘導とaVRを見て、左右の上肢誘導は逆になっているに、気付く。

 

*CRBBBだけど何か変ダ💦。V6がRSじゃなくてqR’だ??

 

*これを説明出来るのは、CRBBBの右胸心だけ!

 

 

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 この症例の胸部誘導を右室側に移し、左右の上肢誘導を逆にした波形と比較しましょう。

 普通のCRBBBに戻りました!

 

 

 

三症例を並べてみましょう。

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【ECG-03の教訓】

 

*左右の上肢誘導の付け間違い?→右胸心を想起する。

 

*胸部誘導の減衰から、右胸心を鑑別に入れる。

 

*CRBBB合併の右胸心は、以前#心電図検定試験に出題されたそうです💦

 

 

なお鏡像型右胸心では九割以上で、心奇形合併症を持ちません。

でも、実臨床では

*孤立型右胸心(心奇形合併が多い)

もあるので、きちんと精査に乗せましょうね。