右胸心は、先天性心疾患の登竜門かもしれません。
出会うときは、すでに診断が付いてますね。
でも、臨床的問題がなく(=鏡像型右胸心:dextrocardia)、患者さんも聞いて初めて「そういえば、心臓が右にあるって、前言われたんですよ。」なんて、答えたりします。早く言ってよ~。。
https://www.mochida.co.jp/dis/guidance/electrocardiogram/a18.html
シンプルに、心臓も他の内臓も左右逆に(鏡面像として)存在する場合を考えます。
ECG-03 (ブログ:ECG-360,120より)
*心電図の問題となるのは、心合併症がない症例(鏡像型右胸心の95%くらい)だと思います。合併心奇形があると、話は複雑ですから。
Case-A
*左右の上肢の付け間違いと同じになります。
(→I 誘導で陰性P波とQr波形。)
(→aVR 誘導で陽性P波とRs波形。)
誘導の付け間違いは、トラップです。
選択枝を選ぶときは、胸部誘導まで、ちゃんと見ましょう。
(→V1からV6になるほど、波高が低くなります。)
(→右側胸部誘導を記録している感じですね。)
後壁梗塞もトラップです。
胸部誘導が心臓より離れて行くのが、分かると思います。
左右の上肢誘導を逆にして、胸部誘導を右側に並べ直すと、普通の波形に戻ります。
Case-B
別の右胸心症例です。
*case-Aとそっくりですね。
*胃泡が右側にあります。内臓逆位も有るんですね。
上肢の誘導を逆にして、右側胸部誘導に張り直すと、普通の心電図に戻りました!
Case-C
CRBBBを伴ったの右胸心症例です。I 誘導がRS patternになるくらいは、良くある事です。すぐにピンと来ないかもしれませんね💦。
心臓が右胸郭に行ってしまったのですが、最後は(右胸郭にある)右室が興奮します。V5,6では、最後に右室の興奮を反映して、R’でQRSは終わります(^_-)。
V1-6まで、似たような波形ですね。rsR’パターンが基本ですが、V6はqRに見えます。さらに波高がどんどん低くなる。。
*I誘導とaVRを見て、左右の上肢誘導は逆になっているに、気付く。
*CRBBBだけど何か変ダ💦。V6がRSじゃなくてqR’だ??
*これを説明出来るのは、CRBBBの右胸心だけ!
この症例の胸部誘導を右室側に移し、左右の上肢誘導を逆にした波形と比較しましょう。
普通のCRBBBに戻りました!
三症例を並べてみましょう。
【ECG-03の教訓】
*左右の上肢誘導の付け間違い?→右胸心を想起する。
*胸部誘導の減衰から、右胸心を鑑別に入れる。
*CRBBB合併の右胸心は、以前#心電図検定試験に出題されたそうです💦。
なお鏡像型右胸心では九割以上で、心奇形合併症を持ちません。
でも、実臨床では
*孤立型右胸心(心奇形合併が多い)
もあるので、きちんと精査に乗せましょうね。