永嶋孝一先生が、なっつさんのギモンに答えたシリーズです。
勿体ないので、私のブログにも貼らして頂きました。
==モーメントがあると、便利だったのに🥺==
抗不整脈薬の使い方のポイントはズバリ
1. どのチャネルをブロックするか
2. どのチャネルのブロックを避けるか
これにつきます
実は「この不整脈はこの薬」という考え方"ではなく"
どの不整脈であろうが、狙うチャネルと狙っちゃいけないチャネルを見極めると、だいたい1剤に辿り着きます
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1629974649194053632
まずは心筋細胞の興奮を超簡単おさらいです!
1. Naチャネル: 心筋興奮の起爆剤
→Naが入り脱分極
2. Caチャネル: 心筋を収縮
→入ったCaがアクチンとミオシンを滑らす
3. Kチャネル: 再分極
→Kが"出て"電位を下げ、また脱分極できるようにする
ここが分かればもう戦えます!イオンポンプは省略!
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1629976618272960512
と言う事は、
このNa、Ca、Kのどれかをブロックすれば、心筋の興奮は抑えられる
→不整脈は抑えられるんです
そこでなっつさんの
Vaughan Williams分類を見直すと…
この分類は
Na、K、Caのどれをブロックする?
+β遮断薬
って綺麗に纏めてくれた、心強い味方だったんだと気づくはずです
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1629981366493511681
ただ時代とともに、複数のチャネルを遮断する薬が出てきて、VW分類では分類しきれなくなりました
そんなら、個々の薬剤とその薬がブロックするチャネルを羅列してしまえ…というのがSicilian gambitです
(分類ではなく語尾に”分類”はつかない)
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630141338770628608
僕もSGは暗記してません
僕個人的に抗不整脈薬の選び方は…
1. まずVW分類で、どのチャネルを狙うか考えて薬剤を決める
2. そして、その薬が狙いたくないチャネルにも手を出してないかチェックするため、SGの表をスマホでチラ見
で、十分だと思います
抗不整脈その2へ
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630143402573713408
抗不整脈薬その2
まずは狙うチャネルを決めましょう
NaとCaを狙うのは理解できるけども、なぜKのブロックでも不整脈が止まるの?
→ Kチャネルをブロックすると、再分極できなくなり不応期が延長して、次の脱分極ができなくなります!
実はKチャネルブロッカーが1番抗不整脈作用が強いんですヨ
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630149879501824001
続いてブロックしたら起こる副作用も知っときましょう
NaやCaをブロックすると心機能が抑制されるので、心不全症例には慎重に
KをブロックするとQTが延びるので、TdPに注意
ただ心機能抑制がないのは最大の強み
低心機能のVTにIII群はガンガン使われますよね
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630152107558060032
とゆーわけで…
不整脈ごとに治療が変わるのではなく…
どの不整脈でも
1. まずどのチャネルを狙えるのか…心機能を見ながら、VW分類で決める!
2. そして副作用を起こさないようにどのチャネルを狙っちゃダメかを、SGをチラ見してチェック!
3. ゆっくり投与!
この作戦でやっつけましょう
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630153887402565632
抗不整脈薬3
VWのI, III, IV群を見てきましょう
まずI群は、Ia-cの3種類
IaとIcは活性化Naチャネルブロッカー
→ Naチャネルの開口をブロック
Ibは不活性化Naチャネルブロッカー
→ Naチャネルが不活性化した後、また開けるようになるまでの回復をブロック
代表的な商品名を書きますね↓
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630867511758684160
まずはIc
純粋なNaチャネル遮断薬です
(タンボコールは超弱くKチャネルブロックするがほぼ無視)
Naにしか手を出さないので、QT延長やIaにある抗コリン作用を気にせず使えるのが利点
ただNaチャネルを遮断するので、心機能抑制には気をつけて下さい
またAFLは固定化するので注意
前ツイ参照
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630867927858573313
続いてIa
Naに加えてKチャネルにも手を出し、抗コリン作用もアリ
Icと違って、Kに手を出すのでAFLに一部効く(今はあまり使わないけど)のが利点
ただ、心機能抑制とQT延長に注意
また抗コリンがあるので、前立腺肥大や緑内障に注意だし、心拍数の高いAFに使うのはちょっと気が引けますよね
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630868451240845320
後にIb
不活性化Naチャネルブロッカー
Naチャネルは、開口(活性化)してNaがドバーッと入ったら不活性化します。
その後不活性化から回復の過程を経て、また開口しますが、その回復をブロックします!
Ibはチャネルからの解離も速く、活性化中にブロックしないので、心機能に関係なく使えます
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630873976338780160
Ibの続き
ただNaチャネルの不活性化の時間は、活動電位のプラトー相辺りと言われています。
心室筋では活動電位持続時間が長いため、不活性化の時間は十分にありますが、心房筋では短いため、不活性化時間は短いんです!
アプリンジンは省略
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1630874523959705600
抗不整脈薬 最終回
III群
純粋な Kチャネル遮断薬シンビットは点滴のみ
アミオダロンとソタロールはβ遮断作用も加わります!NaはCaはほぼ無視!
Kブロック=脱分極のジャマをしないので、心抑制作用ナシ!これが最大のイイトコで、低心機能の「VT」や 「AF」に使えます
(ちなみに1番最初のTweetの、どの抗不整脈薬を使うかは、不整脈毎に選ぶんじゃなく、VTだろうがAFだろうが、どのチャネルを狙うかで決める!という意味が分かりましたか)
ただQT延長には注意ね
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1631961226820620294
最後にIV群
ペプリコール
このべプリ、Caブロッカーに分類されてますが、強力なK遮断もポイントで、僕らはかなり重宝しています
強力なK遮断で、I群が無効のPAFや時には持続性AFも止まります!
ablation後の持続性AFの再発抑制にも便利
ただ、CaとKに手を出すので、心抑制とQTは絶対注意
ちなみにワソラン(ベラパミル)は、Kには手を出さず、Naブロックも超弱く、房室結節の伝導をただ抑制するだけ
「AFにはほぼ効かない」ので、気をつけて下さい
たまーにAFにワソランでお茶を濁す処方を見ますが、解決にならないどころか、Ca遮断により心不全になる可能性もありますよ
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1631963118032261120
とゆーわけで…最後のまとめ
1. まずどのチャネルを狙えるのか…心機能を見ながら、Vaughan Williams分類で決める
ex 心機能が良くてNaが狙えるのか
心機能が悪いから Kを狙うのか
はたまたマクロリエントリーだからKに手を出しとこう etc
2. そして、患者さんの心拍数や基礎疾患に目をやり、どのチャネルを狙っちゃダメかを、Sicilian Gambitをスマホでチラ見してチェック
ex心拍数高いから抗コリンは避けるか
前立腺肥大あるから抗コリン避けるか
薬剤でQT延びてるからこれ以上Kをブロックしたくないとか etc
3. ゆっくり投与して、バイタルが崩れないか、AFLに変化してないかなど見守る!
こんな感じで選んでいけば、使うべき抗不整脈薬はおのずと1-2つくらいに絞られますよ
不整脈をみたら…みなさんぜひこの作戦で考えてみて下さい
https://twitter.com/Koichi16423232/status/1631977902723182593
こうちゃん先生、感謝です🥰🥰